【PowerPoint】アニメーションを一括で削除・無効化する方法3選

この記事では、PowerPointファイルに設定されているアニメーションを一括で削除する方法と、一時的に無効化(オフ)する方法の両方をわかりやすく解説します。

「動きが多すぎて編集しづらいスライドを受け取った」「印刷・配布用にアニメーションを全部止めたい」など、手作業では10分以上かかる面倒な作業も、ここで紹介する方法なら外部ツールを使わずに最短1分で完了します。

具体的には、PowerPoint のアニメーションを削除するVBAの実用コードと、スライドごとにアニメーションを手動で削除する方法スライドショー設定でアニメーションだけを無効にする手順をご紹介します。

アニメーションを完全に消したい人も、一時的に動きを止めたい人も、この記事を読めば最適な方法が見つかります。
ぜひ最後までお読みください。

目次

PowerPointファイルからアニメーションをVBAで一括削除する

まずは、VBA マクロを使ってPowerPointファイル内のアニメーションを一括で削除する方法から解説します。
標準機能だけでは、全スライドのアニメーションをまとめて消す手段がありません。そのため、マクロを使うのが最速かつ確実な方法です。

「マクロ」や「VBA」と聞くと少し操作が難しいと感じる方もいるかもしれませんが、操作画面付きで解説していますので、ぜひ試してみてください。

アニメーションを削除する前にPowerPointファイルをバックアップしておくことをおすすめします。

STEP
アニメーションを削除したいファイルを開き、「開発」タブをクリック

まずはアニメーションを削除したいファイルを開き、「開発」タブをクリックしてください。

「開発」タブが表示されていない場合は、まずそちらの準備をお願いします(表示方法は「【PowerPoint】開発タブの出し方|初心者でもすぐできる簡単4ステップ」)。

アニメーションを削除したいファイルを開き、「開発」タブをクリック
PowerPointファイルからアニメーションをVBAで一括削除する Step1
STEP
「Visual Basic」ボタンをクリック

次に、「開発」タブの中にある「Visual Basic」ボタンをクリックし、マクロコードを編集するための専用画面であるVBAエディター(VBE)を開いてください。

「Visual Basic」ボタンをクリック
PowerPointファイルからアニメーションをVBAで一括削除する Step2
STEP
ファイル名を探して右クリックし、「挿入(N)」にカーソルを合わせ「標準モジュール(M)」をクリック

次に、VBAコードを入れる「標準モジュール」を追加しましょう。

VBAエディター(VBE)画面の左にある「プロジェクト」ウィンドウで、ファイル名(例: VBA Project (プレゼンテーション))を探して右クリックしてください。

次に表示されたメニューから「挿入(N)」にカーソルを合わせ、展開されたリスト内の「標準モジュール(M)」をクリックしてください。

PowerPointファイルからアニメーションをVBAで一括削除する Step3
STEP
コードウィンドウにマクロのVBAコード全文を貼り付け

「標準モジュール(M)」を選択すると、VBE(VBAエディター)の右側にコードウィンドウ(何も書かれていない、テキストを入力するための白いエリア)が表示されます。

以下のマクロのVBAコード全文をコピーし、貼り付けてください。

Sub DeleteAllAnimations()
    '--------------------------------------------
    ' PowerPointファイル内の全スライドから
    ' 1. メインシーケンスのアニメーション
    ' 2. インタラクティブ シーケンスのアニメーション
    ' 3. スライド遷移(トランジション)
    ' をまとめて削除・無効化するマクロ
    '--------------------------------------------

    Dim sld As Slide          ' 各スライドを扱う変数
    Dim shp As Shape          ' スライド上の各図形を扱う変数
    Dim seq As Sequence       ' インタラクティブシーケンスを扱う変数
    Dim i As Integer          ' ループ用カウンター

    '===========================
    ' すべてのスライドを処理する
    '===========================
    For Each sld In ActivePresentation.Slides

        '------------------------------------
        ' 1) メインシーケンスを後ろから削除
        '    ※ 後ろから削除しないとインデックスがずれる
        '------------------------------------
        For i = sld.TimeLine.MainSequence.Count To 1 Step -1
            sld.TimeLine.MainSequence(i).Delete
        Next i

        '------------------------------------
        ' 2) インタラクティブシーケンスを後ろから削除
        '------------------------------------
        For Each seq In sld.TimeLine.InteractiveSequences
            For i = seq.Count To 1 Step -1
                seq(i).Delete
            Next i
        Next seq

        '------------------------------------
        ' 3) スライド遷移(トランジション)をリセット
        '------------------------------------
        With sld.SlideShowTransition
            .EntryEffect   = ppEffectNone   ' 遷移効果なし
            .AdvanceOnClick = msoFalse      ' クリックで進まない
            .AdvanceOnTime  = msoFalse      ' 自動時間送りしない
        End With

        '------------------------------------
        ' 4) 図形ごとの AnimationSettings を無効化
        '------------------------------------
        For Each shp In sld.Shapes
            shp.AnimationSettings.Animate = False
        Next shp

    Next sld

    '------------------------------
    ' 完了メッセージを表示
    '------------------------------
    MsgBox "すべてのアニメーションとトランジションを削除しました。", vbInformation
End Sub
コードウィンドウにマクロのVBAコード全文を貼り付け
PowerPointファイルからアニメーションをVBAで一括削除する Step4
STEP
VBE(VBAエディター)の左上にある「実行」ボタンをクリック

マクロのVBAコードを貼り付けたら、VBE(VBAエディター)の左上にある「実行」ボタンをクリックしてください。

このマクロを実行するとCtrl+Zで元に戻せない可能性があります。
実行前にファイルのバックアップをおすすめします。

VBE(VBAエディター)の左上にある「実行」ボタンをクリック
PowerPointファイルからアニメーションをVBAで一括削除する Step5
STEP
「OK」ボタンをクリック

「実行」ボタンをクリックすると、「すべてのアニメーションとトランジションを削除しました。」とメッセージが表示されます。

「OK」ボタンをクリックしてください。

「OK」ボタンをクリック
PowerPointファイルからアニメーションをVBAで一括削除する Step6
STEP
アニメーションがすべて削除されたことを確認する

「OK」ボタンをクリックすると、PowerPointファイル内すべてのアニメーションが削除されたことを確認してください。

アニメーションがすべて削除されたことを確認する
PowerPointファイルからアニメーションをVBAで一括削除する Step7

マクロが追加されたPowerPointファイルを保存する場合の注意点

マクロが追加されたPowerPointファイルを保存しようとすると、次の確認メッセージが表示されます。

マクロが追加されたPowerPointファイルを保存しようとしたら表示されるメッセージ
マクロが追加されたPowerPointファイルを保存しようとしたら表示されるメッセージ

これは、マクロ付きPowerPointファイルは「.pptx」形式では保存できず、「.pptm」や「.ppsm」で保存する必要があるためです。

ただし、今回紹介したマクロは頻繁に使用するものではないため、通常は保存する必要はありません。
保存する必要がない場合は「はい(Y)」ボタンをクリックしてください。「はい(Y)」ボタンをクリックすると、PowerPointファイルからマクロが削除された状態で保存されます。

マクロをPowerPointファイル内に保存しておきたい場合は「いいえ」をクリックして「.pptm」や「.ppsm」形式で保存してください。

各スライドのアニメーションを手作業で削除する

「VBAが使えない」「特定スライドだけ調整したい」場合は、PowerPointの標準機能でアニメーションを削除できます。

  1. アニメーションを削除したいファイルを開き、「アニメーション」タブをクリック
  2. スライド内にあるすべてのオブジェクトを選択して「アニメーション」タブの中にある「なし」をクリック
  3. アニメーションが削除されたことを確認する

この方法は1スライドごとにアニメーションを削除するため、VBAを使った方法よりも時間や手間がかかりますが、元に戻すCtrlZ)が効くため、安心して操作できます。

念のため、アニメーションを削除する前に PowerPoint ファイルをバックアップしておくことをおすすめします。

ここからは、各スライドのアニメーションを手作業で削除する方法を、実際の画面を使いながらわかりやすく解説していきます。

STEP
アニメーションを削除したいファイルを開き、「アニメーション」タブをクリック

まず、アニメーションを削除したいファイルを開き、「アニメーション」タブをクリックしてください。

アニメーションを削除したいファイルを開き、「アニメーション」タブをクリック
各スライドのアニメーションを手作業で削除する Step1
STEP
スライド内にあるすべてのオブジェクトを選択して「アニメーション」タブの中にある「なし」をクリック

次に、スライド内にあるすべてのオブジェクトを選択してください。

PowerPointでスライド内のオブジェクトを選択する方法はいくつかあります。
詳しくは「【PowerPoint】図形・オブジェクトを一括選択する方法」をご覧ください。
また、特定のアニメーションだけを削除したい場合は、該当のオブジェクトのみを選択してください。

オブジェクトを選択した状態で「アニメーション」タブの中にある「なし」をクリックしてください。

PowerPointのリボンが折りたたまれて操作しにくい場合は、「【PowerPoint】リボン(メニューバー)を常に表示する方法|デスクトップ版・Web版対応」をご覧になり、リボンを常に表示に切り替えてください。

スライド内にあるすべてのオブジェクトを選択して「アニメーション」タブの中にある「なし」をクリック
各スライドのアニメーションを手作業で削除する Step2
STEP
アニメーションが削除されたことを確認する

「なし」をクリックすると、選択したオブジェクトのアニメーションが削除されます。

アニメーションが削除されたことを確認する
各スライドのアニメーションを手作業で削除する Step3

スライドショーの設定からアニメーションを無効化する

PowerPointファイルのアニメーションを「一時的に動きを止めたい」だけなら、以下の手順でアニメーション自体は残したままスライドショー再生時だけオフにできます。

  1. アニメーションを無効にしたいファイルを開き、「スライドショー」タブをクリック
  2. 「スライドショーの設定」をクリック
  3. 「アニメーションを表示しない(S)」にチェックを入れ、右下の「OK」ボタンをクリック

元に戻す際は、同じ手順でチェックを外すだけなので、一時的にアニメーションを止めたい場合に便利です。

ここからは、スライドショーの設定からアニメーションを無効化する方法を、実際の画面を使いながらわかりやすく解説していきます。

STEP
アニメーションを無効にしたいファイルを開き、「スライドショー」タブをクリック

まずはアニメーションを無効にしたいPowerPointファイルを開き、「スライドショー」タブをクリックしてください。

アニメーションを無効にしたいファイルを開き、「スライドショー」タブをクリック
スライドショーの設定からアニメーションを無効化する Step1
STEP
「スライドショーの設定」をクリック

次に、「スライドショーの設定」をクリックしてください。

PowerPointのリボンが折りたたまれて操作しにくい場合は、「【PowerPoint】リボン(メニューバー)を常に表示する方法|デスクトップ版・Web版対応」をご覧になり、リボンを常に表示に切り替えてください。

「スライドショーの設定」をクリック
スライドショーの設定からアニメーションを無効化する Step2
STEP
「アニメーションを表示しない(S)」にチェックを入れ、右下の「OK」ボタンをクリック

「スライドショーの設定」をクリックすると、「スライドショーの設定」と書かれた画面が表示されます。

その中にある「アニメーションを表示しない(S)」にチェックを入れ、右下の「OK」ボタンをクリックしてください。

これで、スライドショー中に限りアニメーションがすべて無効化されます。

「アニメーションを表示しない(S)」にチェックを入れ、右下の「OK」ボタンをクリック
スライドショーの設定からアニメーションを無効化する Step3

PowerPointのアニメーション削除・無効化に関するよくある質問と答え

PowerPointのアニメーション削除・無効化に関するよくある質問と答えをまとめました。

パワポのアニメーションを一括で消したい!一番簡単な方法は?

一時的に非表示にしたいだけなら、「スライドショーの設定」で「アニメーションを表示しない」にチェックを入れる方法が最も簡単で安全です。
完全に削除したい場合は、スライドの枚数が少なければ「アニメーションウィンドウ」での手動削除、多ければ「VBA(マクロ)」を使うのが最も高速です。

アニメーションを「削除」するのと「無効化」するのは、どう違いますか?

「削除」は、設定したアニメーションのデータそのものをファイルから消してしまう操作です。
一方、「無効化」は、アニメーションの設定は残したまま、スライドショー実行時だけ、その動きを一時的にオフにする機能です。

VBA(マクロ)を使う方法の、メリットとデメリットを教えてください。

メリットは、何百枚スライドがあっても、一回の操作で全てのオブジェクトのアニメーションを完全に削除できる、圧倒的な速さです。
デメリットは、一度実行するとCtrl+Zで元に戻せない可能性があることと、マクロの実行に抵抗がある初心者には少し難しく感じられる点です。

複数のスライドのアニメーションをまとめて削除する、VBA以外の方法はありますか?

残念ながら、PowerPointの標準機能にはありません。
VBAを使わない場合は、1枚ずつスライドを選択して削除していく必要があります。

VBAも使いたくないし、手動で削除するのも面倒です。他にもっと良い方法ないですか?

PowerPointファイルを一度PDFに変換し、そのPDFファイルを再度PowerPointに戻すことでアニメーションを削除することは可能です。
ただし、フォントが変わってしまったり、その後うまく編集できなくなる可能性はあります。

間違えてアニメーションを削除してしまいました。元に戻せますか?

すぐにCtrl+Zを押せば元に戻せます。
ファイルを保存していなければ、保存せずに閉じてもう一度開く、という手はあります。

VBAを実行したら「マクロが無効にされました」とエラーが出ます。

PowerPointのセキュリティ設定で、マクロの実行がブロックされている可能性があります。
「ファイル」→「オプション」→「トラストセンター」→「トラストセンターの設定」→「マクロの設定」で、「すべてのマクロを有効にする」などを選択してください。

アニメーションを削除すると、PowerPointのファイルサイズは軽くなりますか?

はい、軽くなります。
特に、多数のオブジェクトに複雑なアニメーションを設定している場合、その設定情報が削除されることで、ファイルサイズが削減される効果があります。ただし、画像の圧縮ほど劇的な効果はありません。
PowerPointのファイルサイズ(容量)の圧縮が目的の場合は「【PowerPoint】ファイルサイズ(容量)を小さくする方法 5選」をご覧ください。

古いバージョン(2010など)のPowerPointでも、VBAマクロは動きますか?

はい、この記事で紹介しているコードは、非常にシンプルなマクロです。
VBAが搭載されているPowerPoint2007以降のバージョンであれば、問題なく動作する可能性が高いです。

スライドマスターに設定したアニメーションが削除できません。

スライドマスター上のアニメーションは、通常のスライド編集画面からは削除できません。
「表示」タブから「スライドマスター」を開き、該当するマスターレイアウト上で、直接アニメーションを削除する必要があります。

特定の種類のアニメーション(例:「フェード」だけ)を検索して削除したい。

残念ながら、PowerPointの標準機能には、特定の種類のアニメーションだけを検索したり、一括で変更・削除したりする機能はありません。

アニメーションを削除したら、オブジェクトの表示順序がおかしくなりました。

アニメーションは、オブジェクトの表示順(重なりの順序とは別)を制御する役割も持っています。
アニメーションを削除したことで、表示順がずれてしまった可能性があります。
「ホーム」タブの「配置」→「オブジェクトの選択と表示」で、各オブジェクトの重なりの順序を確認・修正してください。

Web版(オンライン版)のPowerPointでマクロ(VBA)は使えますか?

いいえ、残念ながら現在のWeb版PowerPoint(PowerPoint for the web)では、マクロ(VBA)の作成、編集、実行は一切できません。
マクロは、PCにインストールされたデスクトップ版のPowerPointでのみ使える機能です。

.pptファイル(古いPowerPointファイル)でも同様の操作は可能ですか?

はい、この記事で紹介しているVBAや手動での削除、設定での無効化は、古い.ppt形式のファイルでも基本的に同様に行うことが可能です。
ただし、.ppt形式は古いファイル形式のため、レイアウトが崩れたり、一部の機能が正しく動作しなかったりする可能性があります。できるだけ早めに.pptx(新しいPowerPointファイル)に変換することをおすすめします。

PowerPointのマクロって他にどんなことができるの?

他には総ページ数付き番号を自動で挿入することもできます。
Excelのマクロと比べて認知度が低いPowerPointのマクロですが、使いこなすことでスライドの作成効率があがります。

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