Microsoft Outlook(アウトルック)画面上部に「マクロが無効にされました」と表示されて、必要な操作ができずにお困りではないでしょうか。
これは、安全のためにOutlookが標準でマクロの実行を制限しているサインです。
ご自身で作成したり、信頼できるところから入手したりした安全なマクロを実行したい場合には、Outlookのセキュリティ設定を見直す必要があります。
この記事では、なぜこの警告が表示されるのかという原因から、信頼できるマクロを有効にする手順、不要なマクロやアドインを整理(無効化・削除)する方法、そしてそれでも解決しない場合の他の対処法(セーフモードなど)まで、具体的な解決策を分かりやすく解説します。
なぜ「マクロが無効にされました」と表示されるのか?
まずご理解いただきたいのは、このメッセージは、エラーや不具合ではなく、Outlookの標準的なセキュリティ機能が働いているというサインであることです。
では、なぜ特にOutlook起動時にこのメッセージが表示されるのでしょうか?
それは、Outlookが起動する過程で、マクロ(VBAというプログラムコード)を含む可能性のある様々な要素(例えば、特定のアドインや、ThisOutlookSession
に記述されたコードなど)を読み込むからです。
Outlookは、これらのコードが安全かどうかを即座には判断できません。
そのため、初期設定(デフォルト)では、提供元が不明であったり、まだユーザーによって「信頼できる」と指定されていないマクロは、潜在的なセキュリティリスク(マクロウイルスなど)からPCを保護する目的で、安全策として自動実行がブロック(=無効化)される仕組みになっています。
この「どのマクロを許可し、どれをブロックするか」のルールは「トラストセンター」で管理されており、起動時に表示されるメッセージやダイアログボックスは、そのルールに従って「安全か不明なマクロを検知し、ブロックしました。もしあなたがこのマクロを信頼し、実行したいのであれば、明示的に許可してください」と、判断を求めている状態なのです。
根本的な原因は、「未知のマクロは、起動時にまず安全のためブロックする」というOutlookの基本的な安全設計にある、と理解しておくとスムーズです。
ここからは、この状態から信頼できるマクロを安全に有効化するための具体的な対処法を見ていきます。
【対処法1】信頼できるマクロを有効にする(マクロのセキュリティレベルを確認・変更する)
自分で作成したマクロや安全だと分かっているOutlookマクロなのに、「無効にされました」と表示されて実行できない。これは、多くの場合Outlookの「トラストセンター」にあるマクロセキュリティ設定が原因です。
この【対処法1】では、信頼できるマクロを安全に有効化するために、トラストセンターの設定を確認・変更する具体的な手順を解説します。
- 左上の「ファイル」タブをクリックする
- 「オプション」をクリックする
- 「トラストセンター」をクリックする
- 「トラストセンターの設定(T)」をクリックする
- 「マクロの設定」をクリックする
- 「すべてのマクロを有効にする」にチェックを入れて「OK」をクリック
- 1つ前の画面に戻るので再度「OK」をクリック
セキュリティレベルの変更は、Outlookの安全性に直接関わるため、慎重な判断が必要です。各設定の意味を理解した上で進めましょう。
Outlookを起動し、左上にある「ファイル」タブをクリックしてください。

「ファイル」をクリックすると「アカウント情報」と大きく書かれた画面に移動します。
その中の「オプション」をクリックしてください。

「オプション」をクリックすると「Outlookのオプション」と書かれたウィンドウが立ち上がります。
左側にある「トラストセンター」をクリックしてください。

「トラストセンター」をクリックすると「セキュリティと詳細情報」を書かれた画面に移動します。
その中にある「トラストセンターの設定(T)」と書かれたボタンをクリックしてください。

「トラストセンターの設定」と書かれたボタンをクリックすると「トラストセンター」が立ち上がります。
その画面の左側メニューにある「マクロの設定」をクリックしてください。

「マクロの設定」をクリックすると「マクロの設定」と書かれた画面に移動します。
その中にある「すべてのマクロを有効にする」にチェックを入れてください。
次に右下にある「OK」をクリックしてください。

「マクロの設定」と書かれた画面で「OK」をクリックすると、「Outlookのオプション」ウィンドウに戻ります。
再度右下にある「OK」をクリックして、「Outlookのオプション」ウィンドウを閉じてください。
これでトラストセンターでの設定変更は完了です。
今後は、今回選択したセキュリティ設定の範囲内でマクロが有効になり、「マクロが無効にされました」というメッセージが表示されなくなります。
結果として、ファイルを開いたりする際にマクロは自動的に実行される状態になります。

【対処法2】不要・不明なマクロやアドインを無効化/削除する
前の【対処法1】では、信頼できるマクロを意図的に有効にする手順を解説しました。
しかし、「マクロが無効にされました」という警告の原因が、ご自身で作成した覚えのないマクロや、現在はもう使用していない不要なアドインである、というケースも考えられます。
あるいは、原因がよく分からないけれど、不要なものは整理したい、という場合もあるでしょう。
このような状況では、マクロの実行を許可するのではなく、原因となっている可能性のある不要・不明なマクロやアドイン自体を特定し、無効化(動作停止)または削除(完全に除去)することが、根本的な解決策となりえます。
これにより、セキュリティリスクを低減したり、場合によってはOutlookの動作が安定・軽快になったりする効果も期待できます。
Outlookに設定されている使用していないマクロを削除する
「マクロが無効にされました」警告は、Outlook内に直接記述された古いVBAコードや、身に覚えのない不明なマクロが原因で表示されることもあります。
このセクションでは、VBE(VBAエディター)を開き、ThisOutlookSession
や標準モジュールなどから、これら不要になった、あるいは不明なマクロコードを特定し、安全に削除する具体的な手順を解説します。
VBAマクロを編集・管理するための画面(VBE)を開くには、Outlookのリボンに「開発」タブが表示されている必要があります。
もし表示されていない場合は、まず以下の記事を参考に「開発」タブを表示させてください。
Outlookを起動し、「開発」タブをクリックしてください。

「開発」タブを開いたら一番左にある「Visual Basic」をクリックしてください。

「Visual Basic」をクリックすると、以下のような画面が表示されます。
画面の左側にある「プロジェクト」ウィンドウに注目してください。
この中にあるMicrosoft Outlook Objects
という項目を展開(左の +
をクリック)すると、ThisOutlookSession
というアイテムが見つかるはずです。
このThisOutlookSession
をダブルクリックしてください。
画面右側に、この場所に記述されているVBAコードを表示・編集するためのエリア(コードウィンドウ)が開きます。

前のステップで ThisOutlookSession
をダブルクリックし、右側にコードウィンドウ(コードが表示・編集されるエリア)が開いている状態かと思います。
ウィンドウ内に表示されているVBAコード全体が、削除の対象となります。
まず、コードウィンドウ内をクリックしてカーソルを置き、キーボードの Ctrl
キーを押しながら A
キーを押してください(Ctrl + A)。
これにより、ウィンドウ内の全てのテキストが選択状態(通常は青く反転表示)になります。
次に、キーボードの Delete
キー(または Backspace
キー)を押します。これで、選択されていた全てのVBAコードが削除され、コードウィンドウが空白になります。
もし、VBE左側のプロジェクトウィンドウに「標準モジュール」というフォルダがあり、その中に「Module1」などのモジュールが存在する場合は、そちらもダブルクリックして開き、不要なコードがあれば同様に削除してください。

コードの削除(または編集)が完了したら、その変更内容を確実に保存することが非常に重要です。
保存を忘れると、ここまでの作業が無駄になってしまいます。
VBEウィンドウのツールバーにある「上書き保存」アイコン(通常はフロッピーディスクの絵柄です)をクリックしてください。または、キーボードでCtrl
+S
を押しても同様に保存できます。
変更内容を保存したら、VBE(VBAエディター)のウィンドウは閉じて大丈夫です。
ウィンドウ右上の「閉じる」ボタン(×印)をクリックして、VBEを終了してください。
これで、不要なVBAマクロコードの削除作業は完了となります。

使用していないアドインを削除(無効化)する
Outlookで表示される「マクロが無効にされました」というメッセージは、ThisOutlookSession
などに記述されたVBAコードが直接の原因である場合が多いですが、Outlookに追加されている「アドイン」(機能を拡張する外部プログラム)が間接的に影響している、あるいはアドイン自体が不要・不安定になっている可能性も考えられます。
ここでは、使用していない、または問題の原因となっている可能性のあるアドインを特定し、一時的に「無効化」したり、完全に「削除(アンインストール)」したりする方法の概要を説明します。
まず、「無効化」はアドインの機能を一時的に停止する操作で、後から簡単に有効に戻せます。
一方、「削除(アンインストール)」はアドインのプログラムをPCから完全に取り除く操作で、元に戻すには通常再インストールが必要です。
トラブルシューティングの第一歩としては、まず「無効化」を試して様子を見ることをお勧めします。
Outlookで問題を起こしやすい代表的なアドインである**「COMアドイン」**を例に、管理画面へのアクセス方法と操作の概要を説明します。(※注:WordアドインやOfficeアドインは管理方法が異なります)
- Outlookの「ファイル」タブ > 「オプション」 > 「アドイン」へ進みます。
- 画面下部にある「管理(A):」のドロップダウンリストが「COM アドイン」になっていることを確認し、右隣の「設定(G)...」ボタンをクリックしてください。
- 「COM アドイン」ダイアログボックスが開きます。現在インストールされているCOMアドインの一覧が表示されるので、無効にしたいアドインがあれば、その左側にあるチェックボックスのチェックを外します。
- 「OK」をクリックすると、設定が反映されます(通常はOutlook再起動後に有効)。
アドインを無効化する具体的な画面操作の手順(スクリーンショットを含む)については、以下の記事の「アドインを無効にする」でわかりやすく解説しています。実際に操作される際は、ぜひこちらをご参照ください。
【対処法3】上記を試しても「マクロが無効にされました」と表示される場合
対処法1(トラストセンター設定)や対処法2(不要マクロ・アドイン整理)を試しても「マクロが無効にされました」の表示が解決しない場合、原因はより深い場所にあるのかもしれません。
この【対処法3】では、さらに原因を探るための次のステップとして、Outlookを「セーフモード」で起動して原因を切り分ける方法と、Officeプログラム自体を修復する「Officeの修復」機能の使い方を解説します。
セーフモードで起動して原因を切り分ける
対処法1(トラストセンター設定変更)や対処法2(不要マクロ・アドイン整理)を試しても、「マクロが無効にされました」のメッセージが消えない、あるいは他のOutlookの不具合が改善しない場合、問題の原因をさらに絞り込むためにOutlookを「セーフモード」で起動してみるのが有効な手段です。
セーフモードとはOutlookを最小限の構成で起動する診断モードです。
このモードでは、動作に影響を与えがちなCOMアドインや、リボンなどのカスタマイズ設定、VBAマクロの自動実行などが一時的にすべて無効化されます。
Outlookをセーフモードで起動する具体的な手順については、以下の記事でスクリーンショット付きで分かりやすく解説していますので、まずはそちらをご参照の上、セーフモードでの起動を試みてください。
セーフモードでOutlookが起動したら、問題となっていた現象(「マクロが無効にされました」メッセージの表示や、その他の不具合)が再現するかどうかを確認します。
この結果によって、原因がどこにある可能性が高いかを判断できます。
- もし、セーフモードでは問題が発生しない場合
これは、通常起動時に読み込まれるアドイン(COMアドイン等)や、何らかのカスタマイズ設定が、やはり不具合の根本原因である可能性が高いことを示唆しています。
この場合は、【対処法2】戻り、より慎重に、原因となっている可能性のあるアドインを一つずつ特定していく作業が必要になります。 に - もし、セーフモードで起動しても問題が改善しない(同じメッセージが出る、同じ不具合が起きる)場合
原因はアドイン等ではなく、Outlookのプロファイル(ユーザーごとの設定やアカウント情報の集まり)の破損や、Officeアプリケーション(Outlook本体)のプログラムファイル自体に問題がある可能性が高いと考えられます。
この場合は、次のステップである「Outlook(Office)の修復」を試すことになります。
Outlook(Office)を修復インストールする
Outlookのセーフモード起動でも、「マクロが無効にされました」メッセージの問題や、その他の不具合が改善しなかった場合、原因はアドインや一時的な設定の問題ではなく、Outlookを含むOfficeアプリケーションのプログラムファイル自体が破損していたり、インストール状態に不整合が生じていたりする可能性が考えられます。
このような状況で試すべき解決策が、Microsoft Officeに標準で用意されている「Officeの修復」機能です。
この機能は、Officeアプリケーションのプログラムファイルをスキャンし、問題が見つかれば自動的に修復を試みます。通常、この操作によってメール、予定、連絡先といったユーザーデータが失われることはありません。
Officeの修復(修復インストール)を実行する具体的な手順については、OSのバージョン(Windows 11/10など)によって若干画面が異なります。
以下の関連記事にて、スクリーンショット付きで詳細な手順が分かりやすく解説していますので、こちらをご参照の上、操作を進めてください。
「マクロが無効にされました」と表示される場合の対処法に関するよくある質問と答え
「マクロが無効にされました」と表示される場合の対処法に関するよくある質問と答えをまとめました。
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