この記事では、Excelの縦・横スクロールバーが消えた(表示されない)場合の対処法を、IT担当者の視点からわかりやすく解説します。
Excelのスクロールバーが表示されない原因の多くは、オプション設定が意図せずオフになっていることです。
もちろん、スクロールバーがなくてもマウスホイールやキーボードを使えばシートの上下移動は可能です。
しかし、シート全体に対する現在位置が直感的に分からず、マウス操作で中間地点へ素早く移動できないなど、操作性が大きく低下します。
「昨日まで普通にスクロールバー出てたのに」――Officeの更新後や PC 交換後に寄せられる典型的なトラブルですが、設定の見直しだけで直るケースが8割です。
この記事を最後まで読めば、基本的なオプション設定の直し方から、表示されない場合の追加対処まで、解決に必要な手順を一通り把握できます。
Excelでスクロールバーが表示されない・消えた場合の直し方(オプション設定)
Excelでスクロールバーが表示されない場合、まず確認すべきなのはExcelのオプション設定です。以下の手順で、スクロールバーの表示設定を確認してください。
- Excelを起動し、画面左上の「ファイル」をクリック
- 左下の「その他」→「オプション」をクリック
- 「Excelのオプション」画面で左側の「詳細設定」をクリック
- 「次のブックで作業するときの表示設定(B)」を探し、「水平スクロールバーを表示する」「垂直スクロールバーを表示する」にチェックを入れて「OK」をクリック
- これでスクロールバーが再表示されます。
これまでの経験上、Officeの更新やPCの移行後などに、Excelのオプション設定でスクロールバーの表示がオフになってしまうケースが最も多く見られます。
ここからは、実際の画面を使いながら、Excelのオプション設定からスクロールバーを再表示させる方法をわかりやすく解説していきます。
Excelを起動し、画面左上の「ファイル」タブをクリックしてください。

「ファイル」タブをクリックすると、Excelのホーム画面に移動します。
左下にある「その他」をクリックしてください。

次に、左下にある「オプション」をクリックしてください。

「オプション」をクリックすると「Excelのオプション」ウィンドウが表示されます。
次に、ウィンドウ左側にある「詳細設定」をクリックしてください。

次に、ウィンドウの右側をスクロールし「次のブックで作業するときの表示設定(B)」を見つけ、「水平スクロールバーを表示する(T)」「垂直スクロールバーを表示する(V)」 にチェックを入れてください。
これで左右や上下にシートをスクロールできるバーが表示されるようになります。
最後に、ウィンドウ右下の「OK」をクリックして、変更内容を保存してください。

「OK」をクリックすると「Excelのオプション」ウィンドウが閉じられ、垂直・水平スクロールバーが表示されていることが確認できます。
これでシートを上下左右にスムーズに移動できるようになります。

Excelのオプション設定を確認してもスクロールバーが表示されない場合の追加対処法
オプション設定で直らない(「垂直スクロールバー」「水平スクロールバー」 にチェックを入れても改善しない)場合、原因はExcelのファイル自体やアドイン、プログラムの不具合など、少し深い階層にある可能性が考えられます。
こうした状況で重要になるのが、原因を正しく切り分けることです。
やみくもに対処すると、ファイル固有の簡単な問題が原因だったにも関わらず、Office全体の修復という時間のかかる作業をしてしまうなど、無駄な遠回りになりかねません。
この記事では、そうした遠回りを避けるため、IT担当者が実務で実践している「影響範囲が狭く、確認が簡単なものから試す」という手順に沿って、解決策を順番に解説します。上から一つずつご確認ください。
Excelを最新の状態に更新してPCを再起動
Excelのオプション設定が正しいにも関わらずシートにスクロールバーが表示されない場合、一時的な不具合や、古いバージョンのExcelを使っていることが原因の可能性があります。
まずは、以下の手順でExcel を最新の状態にアップデートし、PC を再起動してください。これだけで解決するケースは少なくありません。
ウィンドウが画面外にはみ出していないか確認する
単純な原因ですが、Excelのウィンドウがデスクトップの表示領域の外側に少しだけずれていると、スクロールバーが見えなくなることがあります。
一度Excelのウィンドウを最大化するか、ウィンドウの上部をドラッグして少し中央に移動させ、スクロールバーが表示されるか確認してみてください。
マクロ(VBA)でスクロールバーが非表示に設定されていないか確認する
マクロ有効ブック(.xlsm)でだけスクロールバーが消える場合、VBAコードによって非表示にされている可能性があります。特に、他の人が作成したファイルでよく見られる原因です。
Alt
+F11
キーでVBE(Visual Basic Editor)を開き、左側のプロジェクトエクスプローラーからThisWorkbook
や各シートのモジュールを開きます
次に、DisplayHorizontalScrollBar = False
や DisplayVerticalScrollBar = False
、Application.DisplayScrollBars = False
といった記述がないか確認してください。
もし該当のコードが見つかった場合は、行の先頭にシングルクォーテーション('
)を付けてコメントアウトするか、False
をTrue
に書き換えて保存することで、スクロールバーが表示されるようになります。
Excelをセーフモードで起動してアドインの影響を確認する
Excelの動作をカスタマイズする「アドイン」が、スクロールバーの表示を妨げている可能性もあります。
原因を切り分けるために、まずはExcelをセーフモードで起動してください。
セーフモードではアドインがすべて無効になるため、これでExcelの編集画面にスクロールバーが表示されれば、アドインが原因であると特定できます。
セーフモードでスクロールバーが表示される場合、いずれかのアドインが原因です。
以下の記事を参考に、アドインを一つずつ無効化→Excelを再起動して切り分けてください。
Excel(Office)プログラムを修復する
ここまでのすべての対処法(オプション設定、Excelの更新、PCの再起動、ウィンドウの状態、マクロの確認、アドインの無効化)を試してもスクロールバーが表示されない場合、ExcelまたはOfficeプログラム自体の一部が破損している可能性があります。
その場合は、以下の手順でOfficeの「修復」インストールを実行することで問題が解決することがあります。
これは、Excelを再インストールするよりも手軽で、破損したファイルを自動的に修復してくれる機能です。
Excelのスクロールバーに関するよくある質問と答え
最後に、Excelのスクロールバーに関するよくある質問と答えをまとめました。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
記事の内容は独自検証に基づくものであり、MicrosoftやAdobeなど各ベンダーの公式見解ではありません。
環境によって結果が異なる場合がありますので、参考のうえご利用ください。
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※Microsoft、Windows、Adobe、Acrobat、Creative Cloud、Google Chromeほか記載の製品名・サービス名は各社の商標または登録商標です。
公式情報・関連資料
- Wordまたは Excel にスクロール バーを表示する - Microsoftサポート
- Windows PC 上の Office アプリをセーフ モードで開く - Microsoftサポート
- Office アプリケーションを修復する - Microsoftサポート
- Excel の詳細 - Microsoftサポート
- Microsoft 365 または Office for Windows を更新する方法 - Microsoftサポート
実行環境詳細と検証日
- OS:Windows 11 Home 24H2(64bit)
※本記事の手順は Windows11 Home / Pro / Enterpriseで共通です(ポリシーで制限された環境を除く)。 - ハードウェア:Intel(R) Core(TM) Ultra 7 155H (1.40 GHz) / 32GB RAM
- Excel:Microsoft 365 MSO (バージョン 2508 ビルド 16.0.19127.20192) 64 ビット
- 最終検証日:2025年9月9日
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