Microsoft Word(ワード)を使っていて、「Wordが起動しない」「作業中に頻繁に固まる(フリーズする)、応答なしになる」「文字入力やスクロールが異常に遅い」「特定のエラーメッセージが出る」……。
こうした予期せぬトラブルに見舞われ、原因も分からず困っていませんか?
そんな時に、問題解決の第一歩としてぜひ試していただきたいのが、Wordを「セーフモード」で起動するという方法です。
セーフモードとは、Wordの動作に影響を与えている可能性のあるアドイン(拡張機能)やユーザー設定などを一時的に無効化し、必要最低限の構成(診断用のモード)でWordを立ち上げるトラブルシューティングの基本的な手法です。
もし、このセーフモードで起動した際に問題の症状が発生しなければ、普段Wordと一緒に読み込まれているアドインなどが不具合の原因である可能性が高い、という原因の切り分け(特定)に繋がります。
この記事では、「Wordのセーフモードってどうやるの?」「具体的な起動手順を知りたい」という方に向けて、Wordをセーフモードで起動するための代表的な方法を2つ、初心者の方にも分かりやすく、手順を追って解説していきます。
難しい操作ではありませんので、ぜひ参考にしてみてください。
Wordをセーフモードで起動する具体的な方法
ここからは、実際にWordをセーフモードで起動するための具体的な手順を解説します。
前文で述べた通り、この方法はWordの不具合に関する原因切り分けに有効でありながら、操作自体は決して難しくありません。
今回は、特別なIT知識やツールがなくても誰でも簡単に試せる、以下の代表的な2つの起動方法をご紹介します。
- 方法1: キーボード操作で起動する方法 (
Ctrl
キーを使った簡単な方法です) - 方法2: 「ファイル名を指定して実行」から起動する方法 (簡単なコマンドを使います)
どちらの方法も、手順に従えばすぐに実行できます。
Ctrlキーを押しながらWordをセーフモードで起動する
まずご紹介する一つ目の方法は、以下のキーボードのCtrl
キーを使った、非常に簡単で直感的なセーフモードの起動方法です。
- Wordのアイコンを探す
- キーボードの「Ctrl」キーを押し続ける
- 「Ctrl」キーを押しながらWordアイコンをクリックして起動する
- 表示されたメッセージで「はい」をクリック
- セーフモードで起動したことを確認する
特別なコマンドを覚えたり入力したりする必要がなく、普段Wordを起動する際の操作に一手間加えるだけですので、どなたでも手軽に試すことができます。「まずは試してみよう」という場合に、特にお勧めの手順です。
まず、Wordを起動するためのアイコンを探してください。
Windowsのスタートメニュー、タスクバー(画面下部のアイコンが並んでいるところ)、あるいはデスクトップ上のショートカットアイコンなど、普段Wordを起動する際に使っているアイコンで構いません。

次に、キーボードの左下または右下あたりにあるCtrl
キー(コントロールキー)を見つけて、指で押さえたままにします。
この後、メッセージが表示されるまで押し続けるのがポイントです。

「Ctrl」キーを押さえたままの状態で、Step1で見つけたWordのアイコンをダブルクリック、またはクリックしてWordを起動してください。(スタートメニューから検索して起動する場合は、Enter
キーを押す瞬間もCtrlキーを押したままにします。)

Wordアイコンをクリック(またはEnter
キーを押)した後も、焦らず、画面に確認メッセージが表示されるまで「Ctrl
」キーは押さえたままにしてください。
パソコンの状況によっては、メッセージが表示されるまで少し時間がかかることもあります。
「Ctrl キーが押されたままになっています。Wordをセーフ モードで起動しますか?」といった主旨の確認メッセージが表示されたら、ここで初めて「Ctrl
」キーから指を離して大丈夫です。
メッセージの内容を確認し、「はい(Y)」ボタンをクリックしてください。

Wordが起動したら、ウィンドウの一番上にあるタイトルバーを確認してください。
通常、「Microsoft Word」と表示される部分に、「Microsoft Word (セーフモード)」のように、カッコ書きで「セーフモード」という文字が表示されていれば成功です。

「ファイル名を指定して実行」からwinword /safeを使ってWordをセーフモードで起動する
二つ目の方法は、Windowsの「ファイル名を指定して実行」という機能から、winword /safe
というコマンド(命令文)を入力してセーフモードを起動するやり方です。
前述したCtrlキーを押し続ける方法とは異なり、決まった文字を正確に入力する必要がありますが、キーを押すタイミングなどを気にする必要はありません。こちらも簡単な手順ですので、一緒に確認していきましょう。
キーボードの左下あたりにあるWindows
キーを押しながら、アルファベットのR
キーを押して「ファイル名を指定して実行」ウィンドウを開いてください。
表示された「ファイル名を指定して実行」の「名前(O):」と書かれた入力欄に、半角で winword /safe
と正確に入力してください。
ここで注意が必要なのは、winword
と /safe
の間に必ず半角スペースを一つ入れることです。スペースを忘れるとうまく起動しません。
コマンドを正しく入力できたら、「OK」ボタンをクリックするか、キーボードのEnter
キーを押して実行します。

「OK」ボタンをクリックするとWordが起動します。
Ctrlキーを使った方法と同じように、起動したWordウィンドウの一番上にあるタイトルバーを見てください。
「Microsoft Word - セーフモード」のように「セーフモード」という文字が表示されていれば、無事に起動成功です。

セーフモードで問題が解決した場合の次のステップ
もしWordをセーフモードで起動した際に、これまで発生していた不具合(起動しない、固まる、エラーが出るなど)が再現しなかったのであれば、その原因はWord本体のプログラムではなく、通常起動時に一緒に読み込まれる「アドイン」や「カスタマイズ設定」などにある可能性が非常に高いと考えられます。
Wordのセーフモードは、トラブルシューティングを目的としており、動作を不安定にする原因となりうる様々な要素を意図的に読み込まずに起動する仕組みです。
具体的には、Wordのセーフモードでは主に以下のような要素が無効化されたり、読み込みがスキップされたりします。
- COMアドイン
外部のソフトウェアメーカーなどがWordの機能を拡張するために提供するプログラムです。
Word全体の動作に影響を与えることがあり、不具合の一般的な原因の一つです。 - Wordアドイン(STARTUPフォルダ内のテンプレート
Word起動時にSTARTUPフォルダから自動的に読み込まれるテンプレートファイル(.dotm
形式など)を指します。
これらに含まれるマクロや設定が影響を及ぼすことがあります。 - Normal.dotmテンプレートのカスタマイズやマクロ
全ての新規文書の基礎となる標準テンプレート(Normal.dotm
)に対してユーザーが行ったカスタマイズ(スタイル、マクロ等)。セーフモードでは、これらの多くが読み込まれません。 - カスタマイズされたリボンやクイックアクセスツールバー
ユーザーが独自に追加・変更したボタンやタブなどのUI(ユーザーインターフェース)設定。 - 一部のオプション設定やレジストリキー
特定のユーザー設定などが一時的に標準状態に戻ることがあります。
これらの読み込まれない、あるいは標準状態に戻される要素、とりわけ「COMアドイン」または「Wordアドイン(STARTUPフォルダやNormal.dotm関連)」が、Wordの動作に予期せぬ影響を与え、不具合を引き起こしているケースが多く見られます。
セーフモードで問題が再現しなければ、まずはこれらのアドインを一時的に無効化してみることが、根本的な解決への近道となります。
Wordがセーフモードでも起動出来ない場合の対処法
セーフモードでもWordが起動しない、またはエラーで落ちてしまう場合、問題はアドイン等ではなく、Word自体やOfficeのインストール環境に潜んでいる可能性が高いと考えられます。
「もう打つ手がない」と諦める前に、試していただきたいのが「Officeの修復」機能です。
これは、Officeプログラムのファイルや設定をチェックし、破損や不整合があれば自動で修正を試みる、標準搭載のトラブルシューティングツールです。
この修復プロセスにより、Wordが正常に起動できるようになるケースも少なくありません。
セーフモードで解決しなかった際の次の手段として、以下の記事で詳しく解説している手順を参考に、Officeの修復を実行してみましょう。
Wordをセーフモードで起動する方法に関するよくある質問と答え
Wordのセーフモードについて、よくある疑問点とその回答を簡潔にまとめました。トラブル解決の際の情報としてお役立てください。
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その他Wordに関する記事はこちらです。是非ご覧ください。
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