この記事では、Excelで数式や関数を入力した際に計算結果ではなく、数式そのものがセルに表示されてしまう問題の解決方法を分かりやすく解説します。
Excelを使っていて、「正しく入力したはずなのに、なぜか数式がそのまま表示される…」という状況になった経験はありませんか?
数式自体が間違っているのか、それともExcelの設定に問題があるのか判断が難しく、作業が止まってしまうことも少なくありません。
私は、情報システム担当者として日々Excelに関するさまざまな相談を受けています。
「数式がそのまま表示される問題」は比較的多く寄せられる相談の一つですが、原因さえ特定できれば簡単に解決できる問題でもあります。
この記事をご覧いただければ、「数式がそのまま表示される」現象が起こる原因と対処法が分かり、Excel作業をすぐに再開できます。
原因ごとの対処法をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
数式がそのまま表示される主な原因チェックリスト
Excelで入力したはずの数式が計算されず、文字としてそのままセルに表示されてしまう場合、いくつかの原因が考えられます。
まずは以下の簡単なチェックリストで、ご自身の状況に当てはまるものがないか、一つずつ確認してみましょう。
該当する原因が見つかったら、それぞれの詳しい対処法へ進んでください。
- セルの書式設定を確認しましたか?
-
特徴:特定のセルだけ、または新しく入力した数式だけが文字列として表示される
セルの書式設定が「文字列」になっている場合、入力内容が数式ではなく単なる文字として扱われ、計算されずにそのまま表示されることがあります。
- Excelが「数式の表示」モードになっていませんか?
-
特徴:シート全体のすべてのセルで、計算結果ではなく数式そのものが表示されている。
「数式の表示」モードがオンになっていると、意図的に全セルの数式を表示する状態になるため、計算結果は表示されません。
- 数式の先頭に「'」(アポストロフィ)やその他の不要な文字(全角スペースなど)が入っていませんか?
-
特徴:特定のセルで、入力した覚えのない記号が数式の前に見える、または数式として認識されない。
これらの文字が数式の先頭にあると、Excelはその入力を数式ではなく文字列として処理してしまいます。
- 数式が半角の「=」(イコール)で正しく始まっていますか?
-
特徴:数式の先頭に「=」がない、または「=」(全角イコール)や他の記号で始まっている。
Excelで計算式として認識させるためには、必ず半角の「=」から入力を始める必要があります。
これが抜けていたり、全角だったりすると計算されません。 - Excelの計算方法が「手動」に設定されていませんか?
-
特徴:数式は正しいはずなのに値が更新されず、
F9
キーを押すと初めて計算結果が更新される。計算方法が「手動」になっていると、セルや参照先の値を変更しても自動では再計算が行われず、数式が古い計算結果のまま、あるいは入力直後の表示のままになることがあります。
数式がそのまま表示される原因と具体的な対処法
チェックリストで、数式が計算されずにそのまま表示されてしまう原因について、おおよその見当はつきましたでしょうか。
ここでは、それぞれの原因に対応する具体的な解決手順を、一つ一つ分かりやすく解説していきます。
セルの書式設定が「文字列」になっている
Excelのセルには、「書式設定」という情報があり、そのセルに入力された内容が数値・文字・日付などのどれに該当するかを判断する役割を持っています。
もし数式を入力したセルの書式設定が、何らかの理由で「文字列」になっている場合、Excelはそのセルの内容を計算すべき数式として認識しません。
その結果、正しく入力した数式であっても、計算結果ではなく数式そのものがセルに表示されてしまいます。
新しく数式を入力したセルだけで起きたり、他の人から共有されたExcelファイルを開いた場合によく見られます。
このような問題が発生した場合、まず対象のセルをクリックして選択した状態で、Excel画面上部の「ホーム」タブにある「数値」グループを確認してみてください。
ここにあるプルダウンメニューが「文字列」と表示されていないかチェックしてください。

もし「文字列」になっている場合は、「標準」へ変更して「OK」をクリックします。
ただし、ここで注意が必要です。
セルの書式を「標準」に変更しただけでは、すでに入力済みの数式は自動的に再計算されないことがあります。
そのため、書式変更後は次のいずれかの操作を行ってください。
- セルをダブルクリックして編集状態にする。
- セルを選択したままキーボードの
F2
キーを押し、その後Enter
キーを押して確定する。
この操作によってExcelは改めて内容を数式として認識し直し、計算結果を表示します。
なお、これらの操作が面倒に感じられる場合は、一度セルの内容を削除し、書式設定を「標準」に変更した後で数式を再入力する方法もあります。このやり方であれば、確実に正しい計算結果を表示できます。
「数式の表示」モードがオンになっている
Excelには、シートに入力されている全ての数式を一度に確認できる「数式の表示」モードという便利な機能があります。
これは、数式のチェックの際には役立ちますが、意図せずにこのモードがオンになっていると、計算結果ではなく数式そのものがセルに表示されてしまいます。
お使いのExcelで、シート全体のセルに数式が表示されている場合は、この「数式の表示」モードが有効になっている可能性が高いです。
「数式」タブにある「数式の表示」ボタンがオン(背景色が濃くなっているなど、押された状態)になっていないか確認してみましょう。
この「数式の表示」モードをオフにして、通常の計算結果表示に戻すための詳しい手順については、以下の関連記事で画像も交えて分かりやすく解説しています。ぜひ、こちらをご参照ください。
数式の先頭に「'」(アポストロフィ)やその他の不要な文字が入力されている
Excelでは、セルに入力した内容の先頭に「'
」(アポストロフィ)を付けると、その後に続く内容は「文字列」として扱われます。
これは電話番号や会員番号のように、「0」から始まる数字をそのまま表示したい場合に便利な方法です。
しかし、誤って数式の先頭に「'
」を入力してしまうと、数式が計算されずにそのまま文字列として表示されてしまいます。
その他、全角スペースや、見た目では気付きにくい文字や記号が紛れ込んでいる場合も、Excelは数式として認識できず、単なる文字列として表示します。
セルを見ただけでは分かりにくいため、該当セルを選択してExcel画面上部の「数式バー」で実際の入力内容を確認しましょう。
やその他の不要な文字が入力されている-1024x576.png)
もし数式の先頭に「'
」や不要なスペース、制御文字などを発見した場合は、それらをDelete
キーやBackspace
キーで削除してください。その後、Enter
キーを押して数式を再入力すると、正しい計算結果が表示されます。
不要な文字の特定が難しい場合は、一度セルの内容をすべて削除してから、半角の「=」を使った正しい数式を改めて入力すると、確実に修正できます。
数式の先頭に「=」がない
Excelでは、セルに入力した内容を計算式(数式)として認識させるためには、数式の先頭を半角の「=」(イコール)で始めるのが一般的です。ただし、実際には半角の「+」や「-」で始めてもExcelは数式として認識します。
また、全角の「=」でもExcelが自動的に半角の「=」に変換してくれるため、問題なく数式として認識されます。
しかし、次のような場合には注意が必要です。
- 数式の先頭に記号(=、+、-)をつけ忘れている
- 全角の「+」や「-」で数式を始めている(これらは自動変換されません)
これらの場合、入力した内容は数式として扱われず、セルにそのまま文字列として表示されます。
問題のセルをクリックしてExcel画面上部の「数式バー」を確認し、先頭に半角の「=」があるかチェックしてください。

もしなければ、次の手順で修正しましょう。
- セルの先頭に半角の「=」を追加する(半角の「+」や「-」でもOK)
- 修正したら
Enter
キーを押して数式を再確定する
この操作で、Excelは入力を数式として認識し直し、計算結果を表示します。
Excelに数式を入力するときは、必ず数式の先頭に「=」を入力しましょう。
ブックの計算方法が「手動」になっている
Excelでは、ブック(ファイル全体)の数式計算を「自動」で行うか「手動」で行うかを設定できます。
何らかの理由でこの計算方法が「手動」に設定されていると、セルに新しい数式を入力したり、参照しているセルの値を変更したりしても、自動では再計算が実行されません。
その結果、数式が入力したままの状態で表示されているように見えたり、古い計算結果のまま画面が更新されなかったりすることがあります。
特に、F9
キーを押すと計算結果が正しく更新される、といった症状が見られる場合は、この「手動計算」モードが原因である可能性が高いと考えられます。
計算方法の設定を「自動」に戻す詳しい手順や、それぞれの計算方法(自動・手動)のメリット・デメリットについては、以下の関連記事で分かりやすく解説していますので、ぜひご参照ください。
上記を試しても数式がそのまま表示されてしまう場合の確認ポイント
これまでに紹介したいくつかの原因と対処法を試しても、残念ながらExcelで数式が計算されずにそのまま表示されてしまう…という状況が改善されない場合もあるかもしれません。
そのような場合は、Excelのより基本的な動作環境や設定に問題が隠れている可能性も考えられます。
ここでは、そういったケースを想定し、Excelアプリケーション自体やその起動方法に関連する、さらに確認しておきたい2つのポイントと、それぞれの試してみるべき対処法をご紹介します。
Excelをセーフモードで起動して計算結果が表示されるか確認する
これまでの対処法を試してもExcelで数式が計算されずにそのまま表示されてしまう場合、Excelに後から追加したアドイン(拡張機能)や、個人用にカスタマイズした設定が影響している可能性も考えられます。
このような原因を切り分けるために有効なのが、Excelを「セーフモード」で起動してみる方法です。セーフモードでは、Excelが起動に必要な最小限の機能だけで立ち上がるため、アドインや多くのユーザー設定は一時的に読み込まれません。
もし、セーフモードで起動したExcelでは数式が正しく計算されるようであれば、アドインや何らかのカスタマイズ設定が問題の原因である可能性が高いと判断できます。
その場合は、原因となっているアドインを特定し無効化するなどの次のステップに進むことができます。
Excelをセーフモードで起動する具体的な手順については、以下の関連記事で詳しく解説していますので、こちらを参考に試してみてください。
Excel(Office)を修復インストールする
これまでに紹介した全ての対処法を試しても、残念ながらExcelで数式がそのまま表示される問題が解決しない場合、Excelアプリケーション自体、あるいはOfficeプログラム全体に何らかの不具合が生じている可能性も考えられます。
このような状況で試せる解決策の一つが、Microsoft Officeの「修復インストール」です。
修復インストールは、Officeプログラムのファイルが破損していたり、設定に問題が生じていたりする場合に、それらを検出して可能な限り正常な状態に戻す機能です。これにより、Excelを含むOfficeアプリケーション全体の動作が改善され、問題が解決することが期待できます。
Officeの修復インストールを実行する具体的な手順については、以下の関連記事で詳しく解説していますので、こちらを参考に試してみてください。
Excelで数式がそのまま表示される場合の対処法に関するよくある質問と答え
Excelで数式を入力したにもかかわらず、計算結果ではなく数式そのものがセルに表示されてしまう場合の対処法に関するよくある質問と答えをご紹介しています。
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その他Excelに関する記事はこちらです。是非御覧ください。
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