Windowsを使うにあたり、システムのパフォーマンスと安定性を維持することは非常に重要です。
定期的なメンテナンス作業を手動で行うのは手間がかかりますが、バッチファイルを活用することで、これらの作業を自動化し、ワンクリックで実行できるようにすることが可能です。
似たような機能があるソフトはありますが、メンテナンスが必要なパソコンにソフトをインストールするのは気が引けたため、メモ帳だけで作れるバッチファイルで作成してみました。
システムメンテナンスバッチファイルとは?
バッチファイル(.batファイル)は、複数のコマンドを自動的に実行するためのスクリプトファイルです。
システムメンテナンスバッチファイルを使用することで、重要なメンテナンスタスクを自動化し、メンテナンスの手間を大幅に削減することができます。
ここで紹介しているメンテナンスバッチファイルは、パソコンに問題が発生した場合に実行してもらえれば十分です。もし定期的に実行する場合は毎月1回程度をオススメします。
システムメンテナンスバッチファイルの概要
このバッチファイルは、Windows PCの定期的なメンテナンス作業を自動化するために作成されています。
- 管理者権限の確認と昇格
- バッチファイルはシステムレベルの操作を行うため、管理者権限で実行する必要があります。スクリプト内では、管理者権限がない場合、自動で昇格を試み、再度管理者としてファイルを実行する仕組みが組み込まれています。
操作ミスを防ぎ、適切にメンテナンス作業が進行します。
- バッチファイルはシステムレベルの操作を行うため、管理者権限で実行する必要があります。スクリプト内では、管理者権限がない場合、自動で昇格を試み、再度管理者としてファイルを実行する仕組みが組み込まれています。
- ログファイルの生成
- メンテナンス作業の進行状況やエラーの有無を確認するために、デスクトップ上に「maintenance_log.txt」というログファイルが生成されます。
各ステップの結果が記録されるため、後からエラーの発生箇所や作業内容を確認することが可能です。
定期的なメンテナンスの効果を追跡するのにも便利です。
- メンテナンス作業の進行状況やエラーの有無を確認するために、デスクトップ上に「maintenance_log.txt」というログファイルが生成されます。
- イベントログのクリア
- このバッチファイルは、システム内の全てのイベントログをクリアします。
イベントログには、エラーや警告などの記録が蓄積されますが、不要なログデータが大量に溜まると、ディスクスペースを圧迫したり、システムのパフォーマンスに影響を与えることがあります。
定期的にクリアすることで、システムをすっきり保つことができます。
- このバッチファイルは、システム内の全てのイベントログをクリアします。
- DNSキャッシュのクリア
- ネットワーク接続に関連する問題を解決するため、DNSキャッシュもクリアされます。
これにより、特定のウェブサイトが正しく表示されない問題や、ネットワークの速度低下を改善できることがあります。
- ネットワーク接続に関連する問題を解決するため、DNSキャッシュもクリアされます。
- 一時ファイル(Tempファイル)の削除
- 一時ファイル(Tempフォルダ内のファイル)を削除し、ディスクの空き容量を増やします。
これらのファイルはシステムやアプリケーションの使用中に自動的に生成されますが、定期的に削除することで、PCのパフォーマンスが向上します。
- 一時ファイル(Tempフォルダ内のファイル)を削除し、ディスクの空き容量を増やします。
- Windows Defenderのフルスキャン
- Windows Defenderが有効かを確認し、有効であればシステム全体のフルスキャンを実行します。
これにより、ウイルスやマルウェアが検出され、PCのセキュリティが強化されます。
Defenderが無効の場合は、スキャンをスキップするための仕組みが含まれています。
- Windows Defenderが有効かを確認し、有効であればシステム全体のフルスキャンを実行します。
- システムファイルチェッカー (SFC) とDISMの実行
- SFC (System File Checker) は、破損したシステムファイルを修復するためのコマンドです。
これにより、Windowsの動作が不安定になる原因を取り除きます。
加えて、DISMコマンドを使用して、システムイメージの修復も行います。
この2つにより、システムの健全性が保たれ、エラーや不具合が発生しにくくなります。
- SFC (System File Checker) は、破損したシステムファイルを修復するためのコマンドです。
- デフラグ
- システムドライブ(Cドライブ)の最適化を行い、断片化したファイルを再編成します(HDDの場合)。
- Windows Updateの実行
- 最新のWindows Updateをスキャンし、必要なアップデートをダウンロード・インストールします。
これにより、セキュリティや機能が最新の状態に保たれ、システムの安全性が向上します。
- 最新のWindows Updateをスキャンし、必要なアップデートをダウンロード・インストールします。
- チェックディスクの実行
- chkdskコマンドを使用して、ディスクのエラーを検出・修正します。
ディスクのファイルシステムに問題がある場合、このコマンドで修復が行われ、データ損失やディスクの障害を防ぎます。
- chkdskコマンドを使用して、ディスクのエラーを検出・修正します。
- PCの再起動
- メンテナンス作業が全て完了した後、再起動が必要かどうかをチェックします。
再起動が必要な場合は、自動で再起動が行われ、必要でなければ手動で再起動するよう通知されます。
これにより、すべての変更が適用され、システムが完全にリフレッシュされます。
- メンテナンス作業が全て完了した後、再起動が必要かどうかをチェックします。
このバッチファイルは、複数のメンテナンス作業を一度に実行できるため、PCのパフォーマンス維持に役立ちます。
システムメンテナンスバッチファイルのスクリプト
以下がバッチファイルのスクリプトです。
@echo off
setlocal
set LOGFILE=%USERPROFILE%\Desktop\maintenance_log.txt
set LOG_CONTENT=
:: 管理者権限に昇格させるチェック
net session >nul 2>&1
if %errorLevel% neq 0 (
echo 管理者権限で再実行中...
powershell -Command "Start-Process '%~f0' -Verb RunAs"
exit /b
)
:: ログファイルの初期化
echo ====== メンテナンス開始 ======
echo メンテナンス開始中...
set LOG_CONTENT=%LOG_CONTENT%====== メンテナンス開始 ======%date% %time%
:: PowerShellで不要ファイル削除を実行
echo 不要ファイルを削除しています...
set LOG_CONTENT=%LOG_CONTENT%不要ファイルを削除しています...
powershell -Command ^
"$paths = @('$env:windir\Temp\*', '$env:temp\*', '$env:windir\SoftwareDistribution\Download\*', '$env:SystemRoot\System32\LogFiles\*');" ^
"foreach ($path in $paths) {" ^
"try { Remove-Item -Path $path -Recurse -Force -ErrorAction Stop; }" ^
"catch { }" ^
"}"
:: イベントログのクリア
echo イベントログをクリアしています...
set LOG_CONTENT=%LOG_CONTENT%イベントログをクリアしています...
for /f "tokens=*" %%G in ('wevtutil el') do (
wevtutil cl "%%G" >nul 2>&1
)
:: DNSキャッシュのクリア
echo DNSキャッシュをクリアしています...
set LOG_CONTENT=%LOG_CONTENT%DNSキャッシュをクリアしています...
ipconfig /flushdns >nul 2>&1
:: Tempファイルの削除
echo Tempファイルを削除しています...
set LOG_CONTENT=%LOG_CONTENT%Tempファイルを削除しています...
rd /s /q %temp% >nul 2>&1
:: Windows Defenderが有効かどうかを確認
echo Windows Defenderの状態を確認しています...
set LOG_CONTENT=%LOG_CONTENT%Windows Defenderの状態を確認しています...
sc query windefend | find "RUNNING" >nul 2>&1
if %errorLevel% neq 0 (
echo Windows Defenderが無効です。
set LOG_CONTENT=%LOG_CONTENT%Windows Defenderが無効です。
) else (
echo Windows Defenderでフルスキャンを実行しています...
set LOG_CONTENT=%LOG_CONTENT%Windows Defenderでフルスキャンを実行しています...
"%ProgramFiles%\Windows Defender\MpCmdRun.exe" -Scan -ScanType 2 >nul 2>&1
)
:: sfc /scannow
echo システムファイルチェックを実行しています...
set LOG_CONTENT=%LOG_CONTENT%システムファイルチェックを実行しています...
sfc /scannow >nul 2>&1
:: DISM
echo DISMを使用してシステムイメージを修復しています...
set LOG_CONTENT=%LOG_CONTENT%DISMを使用してシステムイメージを修復しています...
DISM.exe /Online /Cleanup-image /Restorehealth >nul 2>&1
:: 再度 sfc /scannow
echo システムファイルチェックを再実行しています...
set LOG_CONTENT=%LOG_CONTENT%システムファイルチェックを再実行しています...
sfc /scannow >nul 2>&1
:: デフラグ
echo デフラグを実行しています...
set LOG_CONTENT=%LOG_CONTENT%デフラグを実行しています...
defrag C: /O >nul 2>&1
:: Windows Update
echo Windows Updateを実行しています...
set LOG_CONTENT=%LOG_CONTENT%Windows Updateを実行しています...
powershell -Command ^
"Set-ExecutionPolicy RemoteSigned -Scope Process -Force;" ^
"if (-not (Get-Module -ListAvailable -Name PSWindowsUpdate)) {" ^
"Install-PackageProvider -Name NuGet -MinimumVersion 2.8.5.201 -Force;" ^
"Install-Module -Name PSWindowsUpdate -Force -AllowClobber -SkipPublisherCheck;" ^
"}" ^
"Import-Module PSWindowsUpdate;" ^
"Get-WindowsUpdate -AcceptAll -Install -AutoReboot" >> "%LOGFILE%" 2>&1
:: checkdisk (再起動時にスケジュール)
echo チェックディスクをスケジュールしています...
set LOG_CONTENT=%LOG_CONTENT%チェックディスクをスケジュールしています...
echo Y | chkdsk C: /f /v >nul 2>&1
:: ログファイルへの一括書き出し
echo %LOG_CONTENT% > "%LOGFILE%"
:: 結果の通知と再起動の確認
echo 再起動を行います。
shutdown /r /f /t 30
exit /b
システムメンテナンスバッチファイルの作り方と使用方法
バッチファイルは、複数のコマンドを一度に実行できるWindowsのスクリプトファイルです。
以下の手順でシステムメンテナンスのバッチファイルを作成しましょう。
手順 1: バッチファイルを作成する
- メモ帳を開く
Windowsの「メモ帳」アプリを開きます。メモ帳はスタートメニューから簡単に検索して見つけることができます。 - バッチファイルのコードを入力
バッチファイルのコードをメモ帳にコピーして貼り付けます。このコードは、基本的なシステムメンテナンス作業を自動的に実行する内容です。 - ファイルを保存
メモ帳の内容をmaintenance.bat
という名前で保存します。
保存時、ファイルの種類を「すべてのファイル」に変更し、拡張子を.bat
にすることを忘れないでください。
手順 2: バッチファイルの実行
- バッチファイルの実行
保存したmaintenance.bat
ファイルを右クリックし、「管理者として実行」をクリックしてください。
管理者権限が必要な作業を含んでいるため、必ず管理者として実行する必要があります。
このバッチファイルには、管理者権限がない場合に自動で昇格して再実行される仕組みが組み込まれているため、手動で「管理者として実行」を選択し忘れても問題ありません。
ただし、再実行時にはユーザーアカウント制御の許可を求められるため、許可を与えてください。 - ログファイルの確認
実行後、デスクトップにmaintenance_log.txt
というログファイルが作成されます。
このファイルには、各メンテナンス作業の進行状況やエラーメッセージが記録されています。
メンテナンス作業が正常に終了したか、何かエラーが発生したかを確認するためにログファイルを開いて内容を確認しましょう。
バッチファイルでメンテナンスを実行するメリット
バッチファイルを使うことで、次のようなメリットがあります。
- 自動化による作業効率化
バッチファイルを一度実行するだけで、複数のメンテナンスタスクが順番に実行されるため、手動で一つ一つ作業する必要がありません。
これにより、操作の手間が大幅に削減されます。 - メモリ使用量の最小化
バッチファイルは軽量で、余計なメモリを消費せずにバックグラウンドで効率的に処理を行います。
これにより、他の作業を中断することなく、メンテナンス作業を行うことが可能です。 - 長時間の作業を自動管理
通常であれば時間がかかるディスクチェックやデフラグなどの作業も、バッチファイルを使えば放置して実行できるため、PCが遅い場合でも負担を感じにくくなります。 - エラー発生時の通知
各作業の進行状況やエラーがログに記録されるため、何か問題があった場合でも後から内容を確認し、トラブルシューティングがしやすいです。
バッチファイルを使ったメンテナンスは、特に時間がかかる作業を効率化しつつ、システムのパフォーマンスを向上させる非常に効果的な方法だといえます。
バッチファイル実行時の注意点
バッチファイルでのメンテナンスは非常に便利ですが、いくつかの重要なポイントに注意する必要があります。以下に、実行時の細かい注意点を挙げます。
1. 管理者権限での実行が必要
- このバッチファイルは、システムレベルの操作(イベントログのクリアやシステムファイルの修復など)を行うため、必ず管理者権限で実行する必要があります。
- 管理者権限で実行しない場合、一部のコマンドが正常に実行されず、エラーが発生することがあります。
対策: バッチファイルを右クリックして「管理者として実行」を選択してください。
2. 実行中はPCのパフォーマンスが低下する可能性
- ディスクのデフラグやウイルススキャン、システムファイルチェックなどの操作は、CPUやディスクリソースを大量に使用します。そのため、バッチファイル実行中に他の作業を行うと、パフォーマンスが低下する可能性があります。
- 特に古いPCやフリーズしやすいPCでは、これらの操作に時間がかかることがあります。
3. フリーズや処理が遅くなるリスク
- デフラグやチェックディスクなどの処理は、ファイルの断片化やディスクエラーの度合いによって時間が大幅に変わることがあります。場合によっては、PCがフリーズしたように見えることがありますが、処理が完了するまで待つことが重要です。
- 対策: 実行中はPCに負荷をかける他の作業をできるだけ避け、時間に余裕のあるときに実行するのが推奨されます。
4. Windows Defenderスキャンの時間
- ウイルススキャンは特に時間がかかる作業です。システム全体をフルスキャンするため、PCのスペックやストレージ容量によって数時間かかることもあります。
- 対策: ウイルススキャンが進行中でも他の作業ができるように、他のアプリケーションの使用を控えながらバックグラウンドで実行することが推奨されます。
5. 再起動が必要な場合
- バッチファイル実行後に再起動が必要な場合があります。特にシステムファイルの修復やWindows Updateのインストールが完了すると、再起動しなければ変更が適用されないことがあります。
- 対策: バッチファイルには自動再起動を含めていますが、再起動が自動で行われなかった場合は、手動で再起動してください。
6. データのバックアップを事前に取る
- メンテナンス中にエラーや問題が発生する可能性を考慮して、重要なデータは事前にバックアップを取っておくことが推奨されます。特に、ディスクチェックやファイル修復など、システムに変更を加える作業を行う際は、バックアップを取ることで万が一のデータ損失を防げます。
7. スリープや休止状態の無効化
- メンテナンス中にPCがスリープモードや休止状態に入ると、処理が中断される可能性があります。特に長時間かかるデフラグやウイルススキャンが実行中に中断されると、進行中の作業がリセットされ、再度最初からやり直しになることがあります。
- 対策: メンテナンス作業中は、PCのスリープ設定を一時的に無効にしておくと良いでしょう。
8. ネットワーク接続の影響
- Windows UpdateやDNSキャッシュのクリアなど、インターネット接続を必要とする作業があります。ネットワーク接続が不安定な場合、これらの処理が正常に行えない可能性があります。
- 対策: バッチファイルを実行する前に、インターネット接続が安定していることを確認してください。
9. メンテナンス完了後のログ確認
- バッチファイルは各メンテナンス作業の結果をデスクトップの「maintenance_log.txt」に記録します。これにより、すべての作業が正常に完了したか、エラーが発生していないかを確認することができます。
- 対策: メンテナンスが完了したら、ログファイルを確認し、問題がないかチェックしてください。エラーが記録されている場合、詳細を確認して対応策を取ることができます。
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