【Word】文書の保護パスワードを忘れた場合の対処法|編集制限を強制解除

この記事では、パスワードを忘れて編集できなくなったWord文書の「編集の制限」を、ファイルを直接編集して強制的に解除する、少し高度な手順を解説します。

手順が多く複雑ですが、フリーソフトなどを使わない安全な手順です。

「Wordファイルに設定した、文書の保護パスワードを忘れてしまった…」
「急いで修正したいのに、『編集が制限されています』と表示されて何もできない!」

そんな絶望的な状況でも、諦めるのはまだ早いかもしれません。
Microsoftが公式には案内していない、docxファイルの内部構造を直接編集することで、編集制限パスワードを強制的に解除する裏ワザを、これからご紹介します。

ただし、これはファイルが破損するリスクを伴う最終手段です。必ず内容をよく読み、自己責任で実行してください。

情報システム担当の私も、「文書の保護パスワードを忘れた」という緊急の問い合わせで、この方法に助けられた経験が何度もあります。

この記事を最後まで読めば、編集制限がかかったWordファイルを再び編集できるようになる可能性があります。
手順を一つずつ、慎重に確認していきましょう。

目次

文書の保護(編集制限)パスワードを強制解除する前に…

この記事で解説する手順は、ファイルの内部データ(settings.xml)を直接編集する高度な操作です。
実行する前に、必ず以下の2つの点を確認・実行してください。

【はじめに】この操作の大きなリスクと代替案の検討

この手順の最も大きなリスクは、操作を誤るとWordファイルが破損し、二度と開けなくなる可能性があることです。
これはMicrosoftが公式にサポートしている方法ではないため、あくまで「最終手段」として捉えてください。

もし可能であれば、以下のような代替案も検討してください。

  • 文書の作成者に問い合わせる
    もし文書の作成者や、パスワードを設定した可能性のある人に連絡が取れるなら、まずはパスワードを教えてもらえないか確認するのが最も安全です。
  • 文書を作り直す
    もし文書のページ数が少なく、内容もテキストが中心であれば、表示されている内容をコピーして新しい文書に貼り付け、書式を整え直す方が早く安全な場合があります。

【最重要】作業前に必ずファイルのバックアップを作成する

代替案が使えず、どうしても強制解除が必要な場合は、作業を始める前に、必ず対象となるWordファイルのバックアップ(コピー)を作成してください。

万が一、ファイルの編集に失敗してファイルが破損してしまっても、バックアップさえあれば元の状態に戻すことができます。
ファイルを右クリックして「コピー」を選び、同じ場所に「貼り付け」して、ファイル名の末尾に「_backup」と付けておくなど、分かりやすく管理しましょう。

文書の保護(編集制限)パスワードを強制解除する方法

事前準備が完了したら、いよいよパスワードの強制解除手順に進みます。

ファイルの拡張子を変更したり、内部のファイルを編集したりと、普段行わない操作が含まれますが、一つずつ慎重に進めれば難しくありません。

拡張子を「.docx」から「.zip」に書き換えて展開する

まず、Wordファイル(.docx)を「zip形式の圧縮ファイル」として扱えるように、拡張子を書き換えます。

STEP
Wordファイルの末尾にある拡張子「.docx」を「.zip」に書き換える

F2キーを押して、バックアップしたWordファイルの末尾にある拡張子「.docx」を「.zip」に書き換えてください。

Wordファイルに設定した「文書の保護(編集制限)」を強制的に解除するには、ファイルの拡張子を変更する必要があります。
そのため、まずは「ファイルの拡張子を表示する方法」を参考にファイルの拡張子を表示させてください。

Wordファイルの末尾にある拡張子「.docx」を「.zip」に書き換える
文書の保護(編集制限)パスワードを強制解除する方法 Step1 拡張子を「.docx」から「.zip」に書き換えて展開する -1
STEP
確認メッセージで「はい(Y)」ボタンをクリック

「.zip」に書き換えると、「拡張子を変更すると、ファイルが使えなくなる可能性があります。変更しますか?」とメッセージが表示されます。

「はい(Y)」ボタンをクリックしてください。

確認メッセージで「はい(Y)」ボタンをクリック
文書の保護(編集制限)パスワードを強制解除する方法 Step1 拡張子を「.docx」から「.zip」に書き換えて展開する -2
STEP
zipファイルを右クリックし、表示されるメニューから「すべて展開...」をクリック

「はい(Y)」ボタンをクリックすると、アイコンがzip形式に変わります。

次に、zipファイルを右クリックし、表示されるメニューから「すべて展開...」をクリックしてください。

zipファイルを右クリックし、表示されるメニューから「すべて展開...」をクリック
文書の保護(編集制限)パスワードを強制解除する方法 Step1 拡張子を「.docx」から「.zip」に書き換えて展開する -3
STEP
保存先を選択して「展開(E)」ボタンをクリック

「すべて展開...」をクリックすると、「展開先の選択とファイルの展開」と大きく書かれた画面が表示されます。

保存先を選択して「展開(E)」ボタンをクリックしてください。

「完了時に展開されたファイルを表示する(H)」にチェックを入れておくと便利です。

保存先を選択して「展開(E)」ボタンをクリック
文書の保護(編集制限)パスワードを強制解除する方法 Step1 拡張子を「.docx」から「.zip」に書き換えて展開する -4

settings.xmlを編集して保護設定タグを削除する

次に、展開したフォルダーの中から、文書の保護設定が記録されているファイル(settings.xml)を探し出し、メモ帳などのテキストエディターでパスワード情報を削除します。

この手順は、失敗するとファイルが破損する原因になるため、特に慎重に行ってください。

STEP
「word」フォルダーを開く

「すべて展開...」をクリックすると、zipファイルが展開され、その中に以下のフォルダーとファイルが表示されます。

  • _rels
  • docProps
  • word
  • [Content_Types].xml

その中にある「word」フォルダーを開いてください。

「word」フォルダーを開く
文書の保護(編集制限)パスワードを強制解除する方法 Step2 settings.xmlを編集して保護設定タグを削除する -1
STEP
「settings.xml」を右クリックし、メニューにある「メモ帳で編集」を選択

次に、「word」フォルダーの中にある「settings.xml」を右クリックし、メニューにある「メモ帳で編集」を選択してください。
※右クリックメニューに「メモ帳で編集」が表示されない場合は、「プログラムから開く」をクリックしてメモ帳を選択してください。

Windows11以降、右クリックメニューのデザインがすっきりとし、項目数も減りました。
Windows10以前の右クリックメニューに戻したい場合は、「Windows11の右クリックメニューを以前の形に戻す方法」をご覧ください。

「settings.xml」を右クリックし、メニューにある「メモ帳で編集」を選択
文書の保護(編集制限)パスワードを強制解除する方法 Step2 settings.xmlを編集して保護設定タグを削除する -2
STEP
documentProtectionという文字を探す

「settings.xml」をメモ帳で開くと、中は以下のような状態になっています。

その中にあるdocumentProtectionという文字を探してください。

キーボードのCtrl+Fを使うと簡単に見つけることができます。

documentProtectionという文字を探す
文書の保護(編集制限)パスワードを強制解除する方法 Step2 settings.xmlを編集して保護設定タグを削除する -3
STEP
<w:documentProtectionから次の"/>までを削除して上書き保存

次に、<w:documentProtectionから次の"/>までを削除してください。
※ファイルの状況によっては<w:documentProtection>から始まり</w:documentProtection>で終わる場合があります。その場合はそれらもすべて削除してください。

この操作が最も重要なポイントです。
1文字でも多く削除しても、1文字残してしまってもエラー(ファイルの破損)に繋がります。

削除が完了したらCtrl+Sでファイルを上書き保存し、メモ帳を閉じてください。

<w:documentProtectionから次の"/>までを削除して上書き保存
文書の保護(編集制限)パスワードを強制解除する方法 Step2 settings.xmlを編集して保護設定タグを削除する -4

ファイルを再圧縮して拡張子を「.docx」に戻す

最後に、編集したファイルを元通りWordが認識できる形式に戻します。

STEP
_rels、docProps、word、[Content_Types].xmlをすべて選択

次に、_relsdocPropsword[Content_Types].xmlCtrl+Aを使ってすべて選択してください。

_rels、docProps、word、[Content_Types].xmlをすべて選択
文書の保護(編集制限)パスワードを強制解除する方法 Step3 ファイルを再圧縮して拡張子を「.docx」に戻す -1
STEP
選択したファイルの上で右クリックし、「圧縮先…」→「ZIPファイル」を選択

次に、選択したファイルの上で右クリックし、「圧縮先...」→「ZIPファイル」を選択してください。

選択したファイルの上で右クリックし、「圧縮先…」→「ZIPファイル」を選択
文書の保護(編集制限)パスワードを強制解除する方法 Step3 ファイルを再圧縮して拡張子を「.docx」に戻す -2
STEP
zipファイルの拡張子を.docxに書き換える

新しく作成されたzipファイルの拡張子を.docxに書き換えてください。

新しく作られるzipファイルの名前は、圧縮前に右クリックしたファイルの名前になります。

zipファイルの拡張子を.docxに書き換える
文書の保護(編集制限)パスワードを強制解除する方法 Step3 ファイルを再圧縮して拡張子を「.docx」に戻す -3
STEP
確認メッセージで「はい(Y)」ボタンをクリック

「.docx」に書き換えると、「拡張子を変更すると、ファイルが使えなくなる可能性があります。変更しますか?」とメッセージが表示されます。

「はい(Y)」ボタンをクリックしてください。

確認メッセージで「はい(Y)」ボタンをクリック
文書の保護(編集制限)パスワードを強制解除する方法 Step3 ファイルを再圧縮して拡張子を「.docx」に戻す -4
STEP
zipファイルがdocx(Wordファイル)に変換されたことを確認する

「はい(Y)」ボタンをクリックすると、zipファイルがdocx(Wordファイル)に変換されます。

zipファイルがdocx(Wordファイル)に変換されたことを確認する
文書の保護(編集制限)パスワードを強制解除する方法 Step3 ファイルを再圧縮して拡張子を「.docx」に戻す -5
STEP
docxファイルを開き、文書の保護(編集の制限)が解除されたことを確認する

最後に、新しくできたdocxファイルを開き、編集の制限が解除されていることを確認してください。
文字の入力や図形の移動ができれば成功です。

docxファイルを開き、文書の保護(編集の制限)が解除されたことを確認する
文書の保護(編集制限)パスワードを強制解除する方法 Step3 ファイルを再圧縮して拡張子を「.docx」に戻す -6

文書の保護(編集制限)パスワードを強制解除する方法に関するよくある質問と答え

文書の保護(編集制限)パスワードを強制解除する方法に関するよくある質問と答えをまとめました。

そもそもここまで複雑な手順を踏んで文書の保護(編集制限)パスワードを強制解除する必要はありますか?

いいえ。WordはExcelと比べてコピーが簡単です。
編集の制限がかかっているファイルでもコピーはできるため、他のファイルを作成し直した方が早い場合もあります。

Excelのシートの保護パスワードも同様の手順で解除できますか?

はい、ほぼ同じ手順で解除することができます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

Wordの編集制限パスワードは、本当にツールなしで解除できるのですか?

はい、ファイルが「.docx」形式であれば、この記事で解説しているXMLファイルを編集する方法で、ツールを使わずに解除できる可能性があります。
「.doc」ファイルを使用している場合は早めに「.docx」ファイルに変換しておくことをおすすめします。

ファイルを開くときのパスワード(暗号化パスワード)も、この方法で解除できますか?

この方法は「編集の制限」パスワード専用です。
ファイルを開くための暗号化パスワード(読み取りパスワードや書き込みパスワード)は、より強力なためこの手順では解除できません。

この手順を実行したら、ファイルが破損して開けなくなりました。

最も可能性が高い原因は、ファイルを再圧縮する際に、フォルダーの中身ではなく、フォルダー自体をzip化してしまったことです。
記事の手順を参考に、必ずバックアップ用のファイルで再試行してください。

Mac版のWordでも同じことができますか?

はい、Macでも同様の操作が可能です。

settings.xmlの中にdocumentProtectionという記述が見つかりません。

その場合、そもそもそのファイルには「編集の制限」が設定されていない可能性があります。
読み取り専用パスワードの可能性もあるので、「【Word】ファイルにパスワードを設定・解除する方法|読み取り・書き込み保護」を参考に解除してみてください。

この方法でパスワードを解除した場合、元のパスワードを知ることはできますか?

いいえ、できません。
この手順は、パスワードを特定するのではなく、パスワード設定自体をファイルから削除するものです。
元のパスワードが何だったかを知ることはできません。

再圧縮の際に、zipファイルの名前は何にすればいいですか?

名前は任意で構いません。

この操作を行うと、ファイルの中身(文章や画像)が消えることはありますか?

手順を正しく行えば、中身が消えることはありません。
ただし、操作を誤ってファイルが破損した場合は、データが失われる可能性があります。
そのため、バックアップが非常に重要です。

無料のパスワード解除ソフトを使うのと、どちらが安全ですか?

提供元が不明なフリーソフトは、ウイルスやマルウェアを含む危険性があります。
この記事で解説している手動での編集は、手順が複雑な代わりに、ウイルス感染のリスクはありません。

なぜMicrosoftは、この方法を公式に案内しないのですか?

パスワードによる保護機能を意図的に迂回する方法であり、セキュリティ機能の無効化を助長しかねないためです。
また、ユーザーが操作を誤ってファイルを破損させるリスクが高いため、公式にはサポートされていません。

この操作にはPCの管理者権限が必要ですか?

いいえ, 必要ありません。自分がアクセス権を持つWordファイルであれば、通常のユーザーアカウントで操作可能です。

テキストエディタは「メモ帳」以外でも大丈夫ですか?

はい、大丈夫です。
ただし、Wordのように自動で書式を設定してしまうソフトではなく、Windows標準のメモ帳や、Visual Studio Codeのようなプレーンテキストを扱えるソフトを使用してください。

削除するタグの範囲を間違えて保存してしまいました。どうすればいいですか?

失敗したファイルは諦めて、バックアップ用のファイルをコピーし、再度手順の最初からやり直してください。

最後までご覧いただきありがとうございました。
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