【Excel】書き込みパスワードを強制的に解除(削除)する方法

この記事では、パスワードが分からなくなったExcelファイル(.xlsx)の「書き込みパスワード」を、特別なツールを使わずに、誰でも安全かつ強制的に解除(削除)する方法を解説します。

「引き継いだファイルに、身に覚えのない書き込みパスワードがかかっていて編集できない…」
「退職した担当者が設定したパスワードが分からず、更新作業が止まってしまった!」

そんな、緊急事態でお困りではありませんか?
ご安心ください。Excelの「書き込みパスワード」は、ファイルを開けなくする「読み取りパスワード」とは違い、比較的簡易な保護です。

そのため、パスワード解析のような危険なツールに頼らずとも、Excelの標準機能だけで、安全に「強制的に」解除することが可能です。

この記事を最後までお読みいただくことで、編集できないExcelファイルを再び編集可能な状態に戻せます。

「書き込みパスワード」が設定されているExcelファイルを開いた場合の画面
「書き込みパスワード」が設定されているExcelファイルを開いた場合の画面
目次

Excelファイルの「書き込みパスワード」を強制的に解除(削除)する方法

Excelファイルに設定した「書き込みパスワード」を強制的に解除(削除)するには以下の手順で行います。

  1. ファイルの拡張子を表示する
  2. 書き込みパスワードを強制的に解除したいExcelファイルの拡張子を変更してzipファイルに変換する
  3. 変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する
  4. workbook.xmlを元の位置に戻し、変換したzipファイルをExcelファイルに戻す

ここからは、それぞれの手順を実際の画面も用いながら詳しく解説していきます。
難しそうに見えるかもしれませんが、手順に沿って操作してもらえれば問題なく解除(削除)できます。

エクスプローラーで「ファイルの拡張子」を表示する

Excelファイルに設定した「書き込みパスワード」を強制的に解除するには、ファイルの拡張子を変更する必要があります。

そのため、まずは「ファイルの拡張子と隠しファイルの表示方法」を参考にファイルの拡張子を表示させてください。

隠しファイルを表示させる必要はありません。

「書き込みパスワード」を強制的に解除したいExcelファイルをzipファイルに変換する

ファイルの拡張子を表示したら、次は以下の手順で「書き込みパスワード」を強制的に解除したいExcelファイルをzipファイルに変換してください。

拡張子の変更やその後の作業を誤ると、ファイルが破損して開けなくなるリスクがあります。
作業を始める前に、必ず元のExcelファイルのバックアップ(コピー)を作成してください。

STEP
Excelファイルの拡張子を.zipに変更する

「書き込みパスワード」を強制的に解除したいExcelファイル(ここでは書き込みパスワード.xlsx)を選択した状態でキーボードのF2を押してください。

F2を押すとファイル名の変更ができるようになります。

ファイル名末尾(ここでは書き込みパスワード.xlsx)の.xlsxと書かれた部分を.zipに変更してください。

「書き込みパスワード」を強制的に解除したいExcelファイルをzipファイルに変換する Step1 Excelファイルの拡張子を.zipに変更する
「書き込みパスワード」を強制的に解除したいExcelファイルをzipファイルに変換する Step1
STEP
確認メッセージで「はい」をクリック

ファイル名の末尾を.zipに変更すると、「拡張子を変更すると、ファイルが使えなくなる可能性があります。変更しますか?」と確認メッセージが表示されます。

「はい(Y)」をクリックしてください。

これでExcelファイル(.xlsx)がzipファイルに変換されます。

「書き込みパスワード」を強制的に解除したいExcelファイルをzipファイルに変換する Step1 Excelファイルの拡張子を.zipに変更する
「書き込みパスワード」を強制的に解除したいExcelファイルをzipファイルに変換する Step2

変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する

Excelファイルをzipファイルに変換したら、次はその中にあるworkbook.xmlをコピーして編集していきます。

実は最新のExcelファイル(.xlsx)は、ZIP形式で構成されたXMLファイルの集合体です。Microsoftの公式サイトでもこの仕様を公開しています。

STEP
変換したzipファイルをダブルクリックして「xl」フォルダーを開く

変換したzipファイル(ここでは書き込みパスワード.zip)をダブルクリックして開き、xlに移動してください。

変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する Step2 変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する
変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する Step1
変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する Step2 変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する
変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する Step1
STEP
workbook.xmlを他の場所にコピー

xlの中にあるworkbook.xmlをコピーして、デスクトップなどに貼り付けてください。

貼り付ける場所は、zipフォルダー内以外であればどこでも問題ありません。

変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する Step2 変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する
変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する Step2
変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する Step2 変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する
変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する Step2
STEP
コピーしたworkbook.xmlをメモ帳で開く

次に、コピーしたworkbook.xmlを右クリックし、メモ帳で開いてください。

Wordやワードパッドで開くと文字化けする可能性があります。Windows標準のメモ帳や、テキストエディターを使って開いてください。

Windows11以降、右クリックメニューのデザインがすっきりとし、項目数も減りました。
Windows10以前の右クリックメニューに戻したい場合は、「Windows11の右クリックメニューを以前の形に戻す方法」をご覧ください。

変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する Step2 変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する
変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する Step3
STEP
workbook.xmlを編集する

workbook.xmlをメモ帳で開くと、以下のような状態になります。

この中から<fileSharing>タグを探し、開始タグから/>までを削除してください。

変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する Step2 変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する
変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する Step4

<fileSharingから次の/>までを削除できたらCtrl+Sを押して上書き保存して、メモ帳を閉じてください。

変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する Step2 変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する
変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する Step4

workbook.xmlを元の位置に戻してzipファイルからExcelファイルに戻す

workbook.xmlの編集が終わったら、次はworkbook.xmlを元あった位置(xlの中)にコピーし、ファイルの拡張子を.zipから.xlsxに戻してください。

STEP
編集して上書きしたworkbook.xmlをコピー

編集して上書き保存したworkbook.xmlを選択し、Ctrl+Cでコピーしてください。

変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する Step3 workbook.xmlを元の位置に戻してzipファイルからExcelファイルに戻す
workbook.xmlを元の位置に戻してzipファイルからExcelファイルに戻す Step1
STEP
コピーしたworkbook.xmlを元あった位置に貼り付け、上書き保存する

次に変換したzipファイル(ここでは書き込みパスワード.zip)をダブルクリックして開き、xlに移動してください。

xlに移動したらCtrl+Vでworkbook.xmlを貼り付けてください。

貼り付けようとすると「この場所には同じ名前のファイルが既にあります。」と表示されるので「コピーして置き換える」をクリックしてください。

変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する Step3 workbook.xmlを元の位置に戻してzipファイルからExcelファイルに戻す
workbook.xmlを元の位置に戻してzipファイルからExcelファイルに戻す Step2
STEP
変換したzipファイルの拡張子を.xlsxに戻す

workbook.xmlを置き換えたら、次は変換したzipファイル(ここでは書き込みパスワード.zip)の拡張子を元の拡張子(.xlsx)に戻していきます。

変換したzipファイル(ここでは書き込みパスワード.zip)を選択し、キーボードのF2を押してください。

F2を押すとファイル名の変更ができるようになります。

ファイル名末尾の.zipと書かれた部分を.xlsxに変更してください。

変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する Step3 workbook.xmlを元の位置に戻してzipファイルからExcelファイルに戻す
workbook.xmlを元の位置に戻してzipファイルからExcelファイルに戻す Step3
STEP
確認メッセージで「はい」をクリック

ファイル名の末尾を.xlsxに変更すると、「拡張子を変更すると、ファイルが使えなくなる可能性があります。変更しますか?」と確認メッセージが表示されます。

「はい(Y)」をクリックして拡張子を変更してください。

これでzipファイルが元のExcelファイルに変換されます。

変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する Step3 workbook.xmlを元の位置に戻してzipファイルからExcelファイルに戻す
workbook.xmlを元の位置に戻してzipファイルからExcelファイルに戻す Step4
STEP
Excelファイルを開き「書き込みパスワード」が解除されていることを確認する

zipファイルが元のExcelファイルに変換されたら、Excelファイルを開き「書き込みパスワード」が解除されていることを確認してください。

変換したzipファイルの中にあるworkbook.xmlをコピーして編集する Step3 workbook.xmlを元の位置に戻してzipファイルからExcelファイルに戻す
workbook.xmlを元の位置に戻してzipファイルからExcelファイルに戻す Step5

Excelファイルの「書き込みパスワード」を強制的に解除(削除)する方法に関するよくある質問と答え

Excelファイルの「書き込みパスワード」を強制的に解除(削除)する方法に関するよくある質問と答えをまとめました。

この方法で、ファイルを開くための「読み取りパスワード」も解除できますか?

いいえ、絶対にできません。
「読み取りパスワード」はファイル全体を強力に暗号化しているため、この方法では解除不可能です。
忘れてしまった場合、公式な解除手段はありません。

そもそもExcelファイルにどうやってパスワードを設定するんですか?

Excelで「名前を付けて保存」→「ツール」→「全般オプション」を開き、「読み取りパスワード」や「書き込みパスワード」に任意の文字列を入力して設定してください。
詳しくは「【Excel】ファイルにパスワードを設定・解除する方法」をご覧ください。

この手順の途中で失敗した場合、ファイルが壊れることはありますか?

はい、その可能性があります。
XMLファイルの編集や拡張子の変更を誤ると、ファイルが破損して開けなくなるリスクがあります。
作業を始める前に、必ず元のファイルのバックアップ(コピー)を作成してください。

workbook.xmlの中に<fileSharing>という記述が見つかりません。

その場合、そのファイルには「書き込みパスワード」が設定されていない可能性が高いです。
「シートの保護」や「ブックの保護」といった、別の保護機能が設定されていないか確認してみてください。

この方法は安全ですか?ウイルスなどの危険はありませんか?

はい、安全です。
この記事で紹介している方法は、Windowsに標準で搭載されている機能(メモ帳など)だけを使っており、外部の怪しいツールは一切使用しません。そのため、ウイルスなどのリスクはありません。

Mac版のExcelでも同じことができますか?

はい、可能です。
Macでも、ファイルの拡張子を.zipに変更して展開し、同様にworkbook.xmlを編集することで、書き込みパスワードを解除できます。

XMLファイルを編集する際、どのテキストエディタを使えばいいですか?

Windowsに標準で付属している「メモ帳」で問題ありません。
その他、「サクラエディタ」や「Visual Studio Code」などの高機能なテキストエディタでも、もちろん編集可能です。

古いExcelファイル(.xls)でも同じように「書き込みパスワード」を解除(削除)できますか?

いいえ、残念ながら.xls形式のファイルでは、この方法は使えません。
この記事で紹介している方法は、新しいExcelファイル(.xlsx.xlsm)が、XMLファイルの集合体をZIPで圧縮したものである、という仕組みを利用しています。

書き込みパスワードがわからないxls(古いエクセル)をxlsx(新しいエクセル)に変換したら、この方法でパスワードを解除(削除)できますか?

はい、xls(古いエクセル)をxlsx(新しいエクセル)に変換すればパスワードを解除(削除)できます。
読み取りさえできれば.xlsxに変換できます。

最後までご覧いただきありがとうございました。
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