古いPowerPointファイル(.ppt
)を開くとレイアウトが崩れる、あるいは新しいPowerPointでうまく扱えない、といった問題に直面することがあります。
古い.ppt
形式のファイルは、互換性や機能面で不便が生じがちです。
しかし、最新の.pptx
形式に変換することで、これらの問題は一気に解消される可能性があります。
さらに、PowerPointがパソコンにインストールされていなくても、無料で変換を実行できる方法が存在します。
この記事では、古いPowerPointファイル.ppt
を新しい.pptx
形式に変換する方法を実際の画面を使いながらわかりやすく解説します。
PowerPointを使った標準的な変換方法と、PowerPointが無い環境でも無料で変換できる方法をご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
.ppt(古いパワポ)と.pptx(新しいパワポ)の見分け方
PowerPointファイルが手元にあるけれど、「これって古い形式だっけ? 新しい形式だっけ?」と迷うことがあるかもしれません。.ppt
なのか.pptx
なのかを簡単に見分ける方法を知っておけば、変換が必要かどうかの判断もスムーズになります。Windows11のエクスプローラーで確認できる主な見分け方は以下の2つです。
ファイルの拡張子を確認する
一番確実な方法は、ファイル名の末尾についている「拡張子」(ファイルの種類を示す記号)を見ることです。
以下の画像のように、古い形式はファイル名の末尾が「.ppt
」 、新しい形式は「.pptx
」(最後に"x"が付く)になっています。
もし、お使いのパソコンでファイル名の後に拡張子が表示されていない場合は、エクスプローラーの設定で表示させることができます。

アイコンのデザインで確認する
ファイルアイコンのデザインでも見分けられる場合があります。
上記画像のように、.ppt
は少し古いデザイン、.pptx
は新しいデザイン("P"が大きい等)で表示されますす。
ただし、アイコンはパソコンの環境や設定によって異なる可能性があるため、最も確実なのはファイル拡張子での確認です。
これらの方法で、お持ちのファイルがどちらの形式か簡単に判別できます。
PowerPointの標準機能で古いパワポを新しいパワポに変換する方法
お使いのパソコンにMicrosoft PowerPoint(デスクトップアプリケーション版)がインストールされているのであれば、特別なツールを追加することなく、PowerPoint自身の機能を使って簡単かつ安全に古い.ppt
ファイルを新しい.pptx
形式へ変換することができます。
主な方法として、「名前を付けて保存」時にファイル形式を選択する方法と、互換モード(古い形式のファイルを開いた状態)で利用できる「変換」機能を使う方法の2つがあります。
ここでは、それぞれの具体的な操作手順を解説していきます。
「名前を付けて保存」を使って変換する
Microsoft PowerPoint(デスクトップ版)がインストールされていれば、最も基本的で多くの方が利用する方法が、この「名前を付けて保存」機能を利用した形式変換です。
特別な操作は必要なく、以下の手順だけで、古い.ppt
ファイルを新しい.pptx
形式で保存し直すことができます。
- 変換したい
.ppt
(古いパワポ)ファイルを開き、左上の「ファイル」をクリック - 「名前を付けて保存」をクリック
- ファイルの種類で「PowerPointプレゼンテーション(*.pptx)」を選択し、「保存」ボタンをクリック
この方法は、元の.ppt
ファイルを残したまま、別ファイルとして新しい.pptx
形式のファイルを作成するため、万が一変換後のファイルに問題があった場合でも安心です。
変換したい.ppt
(古いパワポ)ファイルを開き、左上の「ファイル」をクリックしてください。

次に、左側のメニューにある「名前を付けて保存」をクリックしてください。

次に、ファイル名を入力し、ファイルの種類で「PowerPointプレゼンテーション(*.pptx)」を選択してください。
最後に「保存」ボタンをクリックしてください。

これで、元の.ppt
ファイルとは別に、新しい.pptx
形式のファイルが作成・保存され、変換は完了です。

「変換」機能を使って変換する
「名前を付けて保存」の操作以外にも、Microsoft PowerPointには古い.ppt
形式のプレゼンテーションを、より新しい.pptx
形式へ直接アップグレードするための「変換」機能が用意されています。
- 変換したい.ppt(古いパワポ)ファイルを開き、左上の「ファイル」をクリック
- 左側のメニューにある「情報」をクリック
- 「変換」ボタンをクリック
- ファイル名を入力して「保存(S)」ボタンをクリック
「変換」機能を使うと、ファイル形式が更新され、最新のPowerPointの機能をフル活用できるようになるほか、ファイルサイズが最適化されるといったメリットがあります。以下に、この「変換」機能を使った具体的な手順を解説します。
変換したい.ppt(古いパワポ)ファイルを開き、左上の「ファイル」をクリックしてください。

次に、左側のメニューにある「情報」をクリックしてください。

「情報」をクリックすると、ファイルのプロパティ(詳細情報)などが表示される画面に切り替わります。
その中にある「変換」ボタンをクリックしてください。

「変換」ボタンをクリックすると、「名前を付けて保存」画面が開きます。
次に、ファイル名を入力し、ファイルの種類で「PowerPointプレゼンテーション(*.pptx)」が選択されていることを確認してください。
最後に「保存(S)」ボタンをクリックしてください。

これで、元の.ppt
ファイルとは別に、新しい.pptx
形式のファイルが作成・保存され、変換は完了です。

PowerPoint不要!無料のオンラインツールで古いパワポを新しいパワポに変換する方法
「古い.ppt
ファイルを新しい.pptx
形式に変換したいけれど、パソコンにPowerPoint(デスクトップ版)がインストールされていない…」そんな場合でも、諦める必要はありません。
Webブラウザとインターネット接続環境さえあれば、無料で利用できるオンラインのツールを使って形式を変換することが可能です。
これらのツールは、ファイルをアップロードして変換する形式が主ですが、ここでは特に信頼性が高く、多くの方が利用しやすいと考えられる、Microsoft自身が提供する「PowerPoint for the web」(無料オンライン版)と、Googleが提供する「Google スライド」(無料オンライン版)の2つのサービスを使った具体的な変換手順を解説します。
PowerPoint for the web(無料オンライン版)で変換する
Microsoftが公式に提供する無料のオンライン版「PowerPoint for the web」なら、お使いのパソコンにPowerPoint(デスクトップ版)がインストールされていなくても、古い.ppt
ファイルを新しい.pptx
形式へ安全に変換できます。
その具体的な手順を以下で見ていきましょう。
まず、Webブラウザで「PowerPoint for the web」にアクセスし、お持ちのMicrosoftアカウントでサインインしてください。
画面中央付近にある「ファイルをアップロード」をクリックしてください。

「ファイルをアップロード」をクリックするとお使いのPCのファイル選択画面(エクスプローラー)が開きます。
ここで、変換したい.ppt
ファイルを選び、「開く(O)」ボタンをクリックしてください。

「開く(O)」ボタンをクリックすると、ファイルがOneDriveにアップロードされ、PowerPoint for the webで開かれます。
ファイルが開くと、画面上部に「読み取り専用 これは古いファイル形式です。変更するには最新の形式でファイルのコピーを保存します。」と書かれた黄色い通知バーが表示されます。
この通知バーの右端にある「コピーを保存」ボタンをクリックしてください。

「コピーを保存」ボタンをクリックすると、OneDrive上に新しい.pptx
形式でファイルのコピーが作成・保存されます。
次に、変換したファイルをPCにダウンロードします。
画面左上の「ファイル」タブをクリックし、表示されたメニューから「コピーを作成する」をクリックします。
最後に「コピーのダウンロード」を選択してください。

「コピーのダウンロード」を選択すると、「プレゼンテーションの準備ができました。」というメッセージが表示されます。
ここで中央の「ダウンロード」ボタンをクリックします。
これで、新しい.pptx
形式に変換されたファイルが、パソコンに保存されます。

Googleスライド(無料オンライン版)で変換する
Googleアカウント(Gmailアカウントなど)をお持ちであれば、Googleが無料で提供しているオンラインプレゼンテーションツール「Google スライド」を使って.ppt
ファイルを.pptx
形式に変換することも可能です。
この方法も、基本的には古い.ppt
ファイルをGoogleドライブ(Googleのクラウドストレージ)にアップロードし、それをGoogleスライドで開いてから、新しい.pptx
形式でダウンロードするという簡単な流れになります。特別なソフトは不要で、Webブラウザだけで完結します。
具体的な手順を以下で確認していきましょう。
まず、Webブラウザで「Google スライド」にアクセスし、お持ちのGoogleアカウントでサインインします。
Googleスライドのホーム画面が表示されたら、「空白のプレゼンテーション」(+マークのアイコン)をクリックしてください。

新しい無題のプレゼンテーションが開いたら、画面左上の「ファイル」メニューをクリックし、表示されたメニューから「スライドをインポート」を選択してください。

「スライドのインポート」ウィンドウで「アップロード」タブを選びます。
次に表示される「参照」ボタンをクリックしてください。

「参照」ボタンをクリックするとファイル選択画面が開くので、変換したい古い.ppt
ファイルを選択してください。
選択後、「開く(O)」ボタンをクリックすると、ファイルのアップロードが始まります。

アップロード後、インポートするスライドの選択画面になります。
「すべてのスライドを選択」をクリックし、右下の「スライドをインポート」ボタンをクリックしてください。

スライドがインポートされたら、.pptx
形式でダウンロードします。
画面左上の「ファイル」メニューから「ダウンロード」を選び、「Microsoft PowerPoint (.pptx)」をクリックしてください。
変換後の.pptxファイルが自動的にダウンロードされます。これで.pptx
形式への変換・保存は完了です。

「.ppt」と「.pptx」の違いは?変換するメリットはなに?
古い.ppt
形式と新しい.pptx
形式、具体的に何が違い、なぜ新しい.pptx
形式への変換が推奨されるのでしょうか?
ここでは、両者の主な違いと、変換することで得られるメリットを分かりやすく解説します。古いファイルをお持ちの方は、ぜひ変換を検討してみてください。
ファイル形式の基本的な違い
最も大きな違いは、ファイルの内部構造です。.ppt
はPowerPoint97から2003まで使われた古いバイナリ形式(プログラム固有形式)でした。
一方、.pptx
はPowerPoint 2007以降で標準となった、Open XML形式(標準化されたデータ形式)に基づいています。
この内部構造の違いが、以下で説明する様々なメリットに繋がっています。
.pptx形式へ変換する主なメリット
古い.ppt
ファイルを新しい.pptx
形式に変換することには、実用上、多くのメリットがあります。
- ファイルサイズの大幅な削減:
.pptx
形式はデータを効率的に圧縮するため、同じ内容でも.ppt
形式より格段にファイルサイズが小さくなる傾向があります。以下の画像例のように、520KBあった.ppt
ファイルが、同じ内容の.pptx
ファイルでは約64KBと、劇的にサイズダウンしています。
これにより、メールでの送受信、クラウドストレージへの保存、ファイルの転送などがよりスムーズかつ快適になります。

- PowerPointの新機能をフル活用: 最新のPowerPointで利用できる高度なアニメーション効果、画面切り替え(トランジション)、SmartArtグラフィック、高品質な動画や音声の埋め込みオプションなどは、基本的に
.pptx
形式を前提として設計されています。.ppt
形式のままでは、これらの新機能が利用できなかったり、ファイルを開いた際に正しく再現されなかったりする可能性があります。 - セキュリティと回復性の向上:
.pptx
形式(Open XML)は、古い形式に比べて、特定の種類のマクロウイルス(不正プログラムの一種)に対するセキュリティリスクが低減されています。
また、万が一ファイルが部分的に破損した場合でも、データが回復できる可能性が高くなっています。 - 互換性と共同編集機能の利用:
.pptx
形式は、現在の標準であるため、最新のPowerPoint(デスクトップ版、Web版、モバイル版)との間で高い互換性が保たれ、レイアウト崩れなどの問題が発生しにくくなります。
特に、Microsoft 365のリアルタイム共同編集機能を利用するには、ファイルが.pptx
形式であることが必須条件です。
これらのメリットを考慮すると、互換性維持などの特別な理由がない限り、古い.ppt
ファイルは新しい.pptx
形式に変換して利用・保存するのが良いと言えるでしょう。
.ppt(古いパワポ)を.pptx(新しいパワポ)に変換する方法に関するよくある質問と答え
古い.ppt
形式のPowerPointファイルを新しい.pptx
形式に変換する際によくある疑問や、知っておくと便利な情報をQ&A形式でまとめました。基本的な疑問から順に確認できます。
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