【Word】1枚の紙に同じページを複数並べて印刷・出力する方法

この記事では、Wordで作成した文書の同じページを1枚の紙に複数並べて印刷する方法を、IT担当者の実務経験を基に解説します。

通常のWord印刷機能では、1枚の用紙に1ページしか印刷されません。また「印刷で2ページを1ページにまとめて印刷」といったWordの標準機能は、あくまで「異なるページ」をまとめるためのものであり、同じ内容を繰り返し配置することはできません。

しかし、印刷設定を適切に工夫することで、1枚の用紙に同じページを2つや4つ並べて印刷することが可能です。これにより用紙コストを大幅に削減でき、社内通知や研修資料の印刷でも威力を発揮します。ぜひ最後までご覧ください。

目次

Wordで1枚の紙に同じページを複数印刷・出力する機能とは?

Wordには、同じページを1枚の用紙に複数並べて印刷・PDF出力できる機能があります。この機能を活用することで、用紙代の節約や配布資料の効率的な作成が可能になります。

通常の印刷では1枚の用紙に1ページしか印刷されませんが、Wordの印刷設定を変更することで、1枚の用紙に同じページを2つ並べたり、4つを2×2の形で配置したりできます。

Wordで1枚の紙に同じページを複数印刷・出力する機能
Wordで1枚の紙に同じページを複数印刷・出力する機能

この機能はプリンター出力だけでなく、PDF出力でも同様に使用できます。印刷では実際の用紙に複数配置され、PDF出力ではファイル内で同じレイアウトが保持されます。

社内のメモや案内文書を印刷する際の用紙節約、研修資料をまとめて準備する時の効率化、リモートワークでPDFを共有する際の印刷コスト削減など、様々な場面で活用できます。

Wordには違うページ同士を1枚にまとめて印刷する機能もあります。今回の「同じページを複数並べる」方法とは用途が違いますが、両方を使い分けることでより便利に印刷できます。詳しくは印刷で2ページを1ページにまとめる方法をご覧ください。

以下では、この機能の具体的な設定手順を実際の画面を使いながらわかりやすく解説します。

Wordで1枚の紙に同じページを複数並べて印刷・PDF出力する方法

Word文書の同じページを1枚の紙に複数並べて印刷・PDF出力する設定は、印刷画面(Ctrl+P)で完結し、用紙やインク代の節約に繋がります。

  1. Wordで「ファイル」タブ→「印刷」をクリック(またはCtrl+P
  2. 「設定」の「1 ページ/枚」と書かれたボタンをクリックし、「2 ページ/枚」を選択
  3. 印刷範囲(ページ)に「1,1」を入力
  4. 「印刷」ボタンをクリックする(PDF出力の場合は「Microsoft Print to PDF」を選択)

ここからは、上記の手順を実際の画面に沿って詳しく解説していきます。

STEP
Wordの「ファイル」タブをクリック

まずは、Wordを開き「ファイル」タブをクリックしてください。

Wordで1枚の紙に同じページを複数並べて印刷・PDF出力する方法 Step1:Wordの「ファイル」タブをクリック
Wordで1枚の紙に同じページを複数並べて印刷・PDF出力する方法 Step1
STEP
「印刷」をクリック

「ファイル」タブをクリックすると、Wordのホーム画面が表示されます。

左下にある「印刷」をクリックしてください。

Wordで1枚の紙に同じページを複数並べて印刷・PDF出力する方法 Step2:「印刷」をクリック
Wordで1枚の紙に同じページを複数並べて印刷・PDF出力する方法 Step2
STEP
「設定」の最下部にある「1 ページ/枚」と書かれたボタンをクリック

「印刷」をクリックすると、印刷設定の画面が表示されます。

「設定」の最下部にある「1 ページ/枚」と書かれたボタンをクリックしてください。

Wordで1枚の紙に同じページを複数並べて印刷・PDF出力する方法 Step3:「設定」の最下部にある「1 ページ/枚」と書かれたボタンをクリック
Wordで1枚の紙に同じページを複数並べて印刷・PDF出力する方法 Step3
STEP
「2 ページ/枚」を選択

「1 ページ/枚」をクリックすると、上に向かってメニューが展開されます。

表示されたメニューから「2 ページ/枚」を選択してください。

1枚の紙に同じページを4枚印刷したい場合は「4 ページ/枚」を選択してください。

Wordで1枚の紙に同じページを複数並べて印刷・PDF出力する方法 Step4:「2 ページ/枚」を選択
Wordで1枚の紙に同じページを複数並べて印刷・PDF出力する方法 Step4
STEP
印刷範囲(ページに)「1,1」と入力

次に、印刷範囲(ページに)「1,1」と入力してください。

この「1,1」は「1ページ目を2回印刷する」という意味です。つまり、1枚の用紙に同じページ1が2つ並んで配置されます。参考として「1,3」と入力すれば1ページ目と3ページ目が1枚に印刷されますが、今回は同じページを複数並べるため「1,1」を使用します。

Wordで1枚の紙に同じページを複数並べて印刷・PDF出力する方法 Step5:印刷範囲(ページに)「1,1」と入力
Wordで1枚の紙に同じページを複数並べて印刷・PDF出力する方法 Step5
STEP
「印刷」ボタンをクリック

最後に「印刷」ボタンをクリックして印刷してください。

印刷設定を変更しても印刷プレビューに変化はありません。

Wordで1枚の紙に同じページを複数並べて印刷・PDF出力する方法 Step6:「印刷」ボタンをクリック
Wordで1枚の紙に同じページを複数並べて印刷・PDF出力する方法 Step6
STEP
印刷(出力)結果を確認する

「印刷」ボタンをクリックすると、プリンターから用紙が出力されます(PDF出力の場合も同様です)。

プレビュー画面では1ページずつ表示されていますが、実際に出力された用紙には、同じページが1枚に2つ縮小されて印刷されています。
手元の印刷結果を確認し、意図通りに複数配置されていることを確認してください。

Wordで1枚の紙に同じページを複数並べて印刷・PDF出力する方法 Step7:印刷(出力)結果を確認する
Wordで1枚の紙に同じページを複数並べて印刷・PDF出力する方法 Step7

Wordの複数印刷・PDF出力の設定と応用テクニック

Word複数印刷・PDF出力で同じページを1枚の紙に並べる際の詳細設定と注意点、4枚配置などの応用テクニックを解説します。

Word複数印刷・PDF出力時の注意点

複数印刷をより効果的に活用するため、以下の点に注意してください。

PDF出力方法の違い
複数配置でPDF出力する場合は、必ず「印刷」→「Microsoft Print to PDF」を選択してください。「名前を付けて保存」からのPDF出力では複数配置機能が使用できません。なお、「Microsoft Print to PDF」ではハイパーリンクや目次のブックマークが失われるため、リンク機能が重要な文書では注意が必要です。

文字・線の見やすさ対策
複数配置では内容が縮小されるため、以下の調整がおすすめです。

  • 本文フォント:12pt以上(4枚配置なら14pt以上)
  • ヘッダー・フッター:14pt以上、または削除
  • 表の罫線:1.5pt以上に設定

余白・境界線の設定
余白を「レイアウト」タブから「狭い」に変更すると、文字が表示される範囲が広くなります。
ページの境界線を表示したい場合、Word文書内に直接線を引くか、Wordの「デザイン」タブにある「ページ罫線」をクリックし、「囲む(X)」を選択してページの罫線を表示させてください。
※ただし、余白を「狭い」にして「ページ罫線」を追加した場合、ページ罫線に文字が近接します。全体のバランスを見ながら調整してください。

両面印刷との組み合わせ
両面印刷で複数配置を使う場合は、綴じ順を考慮して「前付け・後付け」設定を調整すると冊子作成がスムーズです。

4枚配置など複数印刷の応用テクニック

基本の2枚配置から更に効率化できる応用方法を紹介します。

4枚配置で用紙を大幅節約
「1枚あたりのページ数」で「4」を選択して印刷範囲を「1,1,1,1」と指定すると、1枚の用紙に2×2で4つ配置されます。印刷範囲を「1,3,5,7」と指定すれば、異なるページを1枚にまとめることも可能です。

6枚以上の多数配置
Wordでは2、4、6、8、9、16枚配置が選択できます。6枚以上は短文の案内やメモに適していますが、文字が非常に小さくなるため注意が必要です。

用紙向きの使い分け
縦長文書は横向き用紙に、横長文書は縦向き用紙に配置すると見やすいレイアウトになります。

テストと配布の効率化
4枚以上配置する際は、まずPDF出力で文字サイズを確認してから印刷してください。リモートワークでは4枚配置PDF を配布することで、受信者の印刷コストも削減できます。

Wordの複数印刷・PDF出力に関するよくある質問と答え

最後に、Wordの複数印刷・PDF出力に関するよくある質問と答えをまとめました。

複数印刷の設定をしたのにプレビューが変わりません

これは正常な動作です。Word複数印刷では、設定で同じページを複数配置に変更しても、プレビュー画面には反映されません。実際の印刷やPDF出力時に1枚の紙に複数並べて配置されます。心配な場合は、先にPDF出力でレイアウトを確認してください。

1枚の紙に同じページを4枚印刷するにはどうすればいいですか?

Wordの印刷画面(Ctrl+P)で「1枚あたりのページ数」を「4 ページ/枚」に選択し、印刷範囲に「1,1,1,1」と入力します。これで1枚の紙に同じページが2×2で4つ配置され、用紙を大幅に節約できます。

複数印刷すると文字が小さくて読めません

Wordの複数印刷で文字サイズが小さすぎる場合の改善方法は以下のとおりです。状況にあわせて試してみてください。
①元文書のフォントを12pt以上に設定(4枚配置なら14pt以上推奨)
②余白を「狭い」に変更して文字領域拡大
③ヘッダー・フッターを削除または大きなフォントに変更
④表の罫線を1.5pt以上に設定してください。

印刷範囲で「1,1」と「1,3」は何が違いますか?

Word複数印刷の印刷範囲設定の違い:「1,1」は1ページ目を2回印刷(同じページを複数配置)、「1,3」は1ページ目と3ページ目を1枚に並べて印刷します。同じページを複数印刷する場合は「1,1」や「2,2」を使用してください。

「名前を付けて保存」でPDF出力しても複数配置になりません

Wordの複数配置機能は印刷機能の一部のため、「名前を付けて保存」でのPDF出力では使用できません。1枚の紙に同じページを複数並べてPDF出力するには、必ず「印刷」→「Microsoft Print to PDF」を選択してください。※他のPDF印刷ソフト(Adobe PDFなど)でも問題はありません。

Wordの印刷画面でMicrosoft Print to PDFが見つかりません。

Microsoft Print to PDFが見つからない場合は、Microsoft Print to PDFの再インストール方法をご覧ください。なお、他のPDF印刷ソフト(Adobe PDFなど)でも問題はありません。

複数印刷でページの境界線を表示できますか?

ページの境界線を表示したい場合、Wordの「デザイン」タブにある「ページ罫線」をクリックし、「囲む(X)」を選択してページの罫線を表示させてください。ページの背景色を変更する方法で背景色をページごとに変えることで境界をわかりやすくすることもできます。

複数印刷するとハイパーリンクが消えてしまいます

Microsoft Print to PDFを使用すると、ハイパーリンクや目次のブックマークは失われます。CubePDFなどの他のPDF印刷ソフトを使用すれば、複数配置とハイパーリンクの両方を保持できる場合があります。

最大で何枚まで1枚に配置できますか?

Word複数印刷では最大16枚まで1枚の用紙に配置可能です。選択肢は2、4、6、8、9、16枚配置ですが、6枚以上は文字がかなり小さくなるためおすすめできません。

両面印刷と組み合わせて使えますか?

Wordの複数印刷と両面印刷は組み合わせ可能です。両面印刷で複数配置を使用する場合は、綴じ順を考慮して「前付け・後付け」設定を調整すると、きれいな冊子が作成できます。

複数印刷の設定は保存できますか?

複数印刷の設定は印刷時のみ有効で、文書ファイルには保存されません。1枚の紙に同じページを複数並べて印刷する設定は、印刷するたびに設定が必要です。

ネットワークプリンターや複合機でも使えますか?

はい、Wordの複数印刷はネットワークプリンターや複合機でも問題なく使用できます。複数印刷機能はWord側の機能のため、プリンターの種類に関係なく、同じページを1枚の紙に複数並べて印刷できます。

古いWordでも複数印刷はできますか?

はい、Wordの複数印刷はWord 2010以降で使用可能です。ただし、古いバージョンでは画面表示や設定項目の名称が現在のWordと異なる場合があります。

複数印刷すると画質は悪くなりますか?

複数印刷では文字や画像が縮小されるため、元の印刷品質と比較して多少の劣化は避けられません。重要な文書の場合は事前にテスト印刷を推奨します。PDF出力時の画質については、PDF変換時に画像の劣化を防ぐ設定方法も参考にしてください。

縦向きと横向きの文書で印刷結果は変わりますか?

はい、1ページに4枚以上配置する場合、縦長文書(A4縦など)は横向き用紙で、横長文書(スライド形式など)は縦向き用紙で印刷すると、1枚の紙に同じページを複数並べた際により見やすいレイアウトになります。2枚配置程度なら向きの影響は少ないですが、配置数が多いほど効果的です。

情シスとしてWordの複数印刷はどんな場面での活用を推奨しますか?

まず社内通知や案内文書の配布で用紙コストを約50%削減できるため積極的に推奨しています。研修資料やマニュアルの印刷時にも効果的で、特に製本前の確認用として活用すると無駄を減らせます。月間印刷コストが高い部門から推進していくことをおすすめします。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。
記事の内容は独自検証に基づくものであり、MicrosoftやAdobeなど各ベンダーの公式見解ではありません。
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※Microsoft、Windows、Adobe、Acrobat、Creative Cloud、Google Chromeほか記載の製品名・サービス名は各社の商標または登録商標です。

公式情報・関連資料と検証環境
公式情報・関連資料
実行環境詳細と検証日
  • OS:Windows 11 Home 24H2(64bit)
    ※本記事の手順は Windows11 Home / Pro / Enterpriseで共通です(ポリシーで制限された環境を除く)。
  • ハードウェア:Intel(R) Core(TM) Ultra 7 155H (1.40 GHz) / 32GB RAM
  • Word:Microsoft 365 MSO (バージョン 2508 ビルド 16.0.19127.20192) 64 ビット
  • 最終検証日:2025年9月22日
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この記事を書いた人

情シスの自由帳管理人のアバター 情シスの自由帳管理人 情シスの自由帳管理人

社内SE歴15年以上。現在も社内のPC管理・ネットワーク・サーバー運用から、日常的なトラブル対応、プログラム開発まで幅広く従事しています。
「情シスの自由帳」では、パソコンが苦手な方や新人の社内SEの方、テレワーク中に困りごとがある方に向けて、実務経験に基づいた再現性の高い解説を心がけています。

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