この記事では、Windowsの標準機能である「chkdsk」(チェックディスク)コマンドを使って、ハードディスクやSSDのエラーをチェックし、修復する方法を、初心者の方でも安心して実行できるよう、わかりやすく解説します。
「PCの動作が急に重くなった…」「ファイルを開こうとするとエラーが表示される…」
そんな原因不明のトラブルは、もしかしたら軽微なディスクエラーが原因かもしれません。
chkdsk(チェックディスク)は、例えるなら「道路の穴や標識の故障を点検・修理してくれる道路整備員」のようなもの。
ディスクというデータの道に問題がないかを確認し、自動で修復してくれます。
情報システム担当の私も、PCの調子が悪い時には、まず最初に試す基本的なメンテナンスコマンドの1つです。
chkdsk(チェックディスク)の基本的な使い方から、よく使われるオプション(/f, /r)の意味、そして実行時の注意点までご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
chkdsk(チェックディスク)コマンドとは?sfcやDISMとの違い
PCの調子が悪い時に調べると、よく「chkdsk」や「sfc」、「DISM」といったコマンドの実行を推奨する記事が見つかります。これらは、Windowsを修復するための強力なツールですが、それぞれに役割が全く異なります。
PCを一つの「街」として考えてみましょう。
chkdsk:道路そのものの点検・補修
chkdsk
は、街の「道路(ディスク)」の健康状態をチェックする役割を担います。
「道路に穴(不良セクタ)は空いていないか?」「住所録(ファイル管理情報)に間違いはないか?」といった、データを保存する場所そのものの問題を診断し、修復します。
sfc /scannow:公共の建物や標識の点検・修理
sfc /scannow
は、街の重要なインフラである「公共の建物や交通標識(Windowsのシステムファイル)」が、壊れていないかを確認・修理します。
OSの動作に不可欠なファイルが破損している場合に、それを正常なものに置き換える役割です。
DISM:街の「設計図」の修復
DISM
は、さらに根本的な部分、つまり街全体の「設計図(Windowsのイメージファイル)」そのものを点検・修復します。
上記のsfcが修理に使おうとした部品(標識)のストック自体が壊れていた場合に、設計図から正しい部品を復元する、といった大掛かりな修復を担当します。
3つのコマンドの役割まとめ
コマンド | 主な目的 | 例えるなら |
---|---|---|
chkdsk | ディスクのファイルシステムや不良セクタの診断・修復 | 道路の補修 |
sfc /scannow | 保護されたWindowsシステムファイルの診断・修復 | 公共物の修理 |
DISM | Windowsのシステムイメージ(部品倉庫)の診断・修復 | 設計図の修正 |
このように、PCの不調の原因がどこにありそうかで、使うべきコマンドは変わってきます。
ディスクに問題がありそうな場合は、まずchkdsk(チェックディスク)を試すのが基本となります。
chkdskコマンドでディスクをチェック・修復する手順
ここからは、chkdskコマンドでPCのディスクをチェック・修復する方法を、実際の画面を使いながらわかりやすく解説していきます。
chkdsk(チェックディスク)を実行するために、まずはコマンドプロンプトを管理者として起動させる必要があります。
以下の記事を参考に、コマンドプロンプトを管理者として起動してください。
管理者としてコマンドプロンプトに、以下のコマンドを貼り付け、Enter
キーを押してください。(Cドライブを対象とする場合)
chkdsk c: /f /r
【コマンドの解説】
- /f : ファイルシステムのエラーを修復します。(例:ファイル管理情報の矛盾など)
- /r : ディスクの物理的な不良セクタを特定し、読み取り可能な情報を回復します。(/fの処理も自動的に含まれます)
基本的には、両方の役割を兼ね備えた/r
オプションまで付けて実行するのがおすすめです。

コマンドを実行すると、「ボリュームが別のプロセスで使用されているため、chkdsk を実行できません」といったメッセージが表示されます。
「Y」を入力してEnter
キーを押してください。
「次回のシステム再起動時に、このボリュームはチェックされます。」と表示されれば、コマンドは正常に受け付けられたことになります。

次にコマンドプロンプトを閉じて、通常通りPCを再起動してください。
再起動時に「ディスク チェックをスキップするには、5秒以内に何かキーを押してください」と表示されるのでそのまま待機してください。

ディスクチェックが開始すると以下のような表示に切り替わります。
ここからは操作は不要です。処理が完了すると、PCは自動的に通常通り再起動します。

chkdsk(チェックディスク)の実行結果を後から確認する方法
chkdsk(チェックディスク)完了後にエラーや修復結果に関する情報が表示されますが、PC起動時に消えてしまうためゆっくり確認することができません。
ここからはchkdsk(チェックディスク)の実行結果(ログ)をイベントビューアーから見返す方法を、実際の画面を使いながらわかりやすく解説していきます。
Windows
キー + R
キーを同時に押して、「ファイル名を指定して実行」ウィンドウを開いてください。
次に、入力欄に以下のコマンドをコピー&ペーストし、「OK」ボタンをクリックするかEnter
キーを押してください。
eventvwr
これでイベントビューアーが起動します。

イベントビューアーが起動したら、左側のメニューで「Windowsログ」を展開し、「Application」をクリックしてください。

「Application」を開いたら、次が右側の「操作」パネルにある「現在のログをフィルター」をクリックしてください。

「現在のログをフィルター」をクリックすると、「現在のログをフィルター」と書かれたウィンドウが新しく表示されます。
その中にある「イベントソース(V)」のプルダウンメニューから「Wininit」を選択し、右下にある「OK」ボタンをクリックしてください。

「OK」ボタンをクリックすると、チェックディスクの実行結果のログが絞り込まれます。
その下のパネルにはチェックディスク実行結果(英語)ログが表示されます。

Checking file system on C:
The type of the file system is NTFS.
Volume label is Windows.
A disk check has been scheduled.
Windows will now check the disk.
Stage 1: Examining basic file system structure ...
937728 file records processed.
File verification completed.
Phase duration (File record verification): 4.87 seconds.
22814 large file records processed.
Phase duration (Orphan file record recovery): 11.31 milliseconds.
0 bad file records processed.
Phase duration (Bad file record checking): 4.27 milliseconds.
Stage 2: Examining file name linkage ...
3774 reparse records processed.
1127084 index entries processed.
Index verification completed.
Phase duration (Index verification): 8.43 seconds.
0 unindexed files scanned.
Phase duration (Orphan reconnection): 780.58 milliseconds.
0 unindexed files recovered to lost and found.
Phase duration (Orphan recovery to lost and found): 102.76 milliseconds.
3774 reparse records processed.
Phase duration (Reparse point and Object ID verification): 22.61 milliseconds.
Stage 3: Examining security descriptors ...
Cleaning up 89 unused index entries from index $SII of file 0x9.
Cleaning up 89 unused index entries from index $SDH of file 0x9.
Cleaning up 89 unused security descriptors.
Security descriptor verification completed.
Phase duration (Security descriptor verification): 19.70 milliseconds.
94679 data files processed.
Phase duration (Data attribute verification): 4.41 milliseconds.
CHKDSK is verifying Usn Journal...
33683568 USN bytes processed.
Usn Journal verification completed.
Phase duration (USN journal verification): 74.18 milliseconds.
Stage 4: Looking for bad clusters in user file data ...
937712 files processed.
File data verification completed.
Phase duration (User file recovery): 4.11 minutes.
Stage 5: Looking for bad, free clusters ...
200747767 free clusters processed.
Free space verification is complete.
Phase duration (Free space recovery): 1.92 minutes.
Windows has scanned the file system and found no problems.
No further action is required.
975628287 KB total disk space.
171298304 KB in 336590 files.
262676 KB in 94680 indexes.
0 KB in bad sectors.
1076239 KB in use by the system.
65536 KB occupied by the log file.
802991068 KB available on disk.
4096 bytes in each allocation unit.
243907071 total allocation units on disk.
200747767 allocation units available on disk.
Total duration: 6.27 minutes (376471 ms).
Internal Info:
00 4f 0e 00 1c 94 06 00 98 ce 0b 00 00 00 00 00 .O..............
9e 08 00 00 20 06 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 .... ...........
実行結果(ログ)の読み解き方
チェックディスクの実行ログは専門用語が多く、一見すると難解に見えますが、注目すべきポイントは、実はそれほど多くありません。
以下に、ログの中から特に重要な部分を抜き出して、その意味を解説します。
1. 最終的な診断結果(最も重要)
まず、最も重要なのは、ログの最後から数行上にある、この一文です。
Windows has scanned the file system and found no problems.
No further action is required.
これが「ディスクに異常はありませんでした。これ以上の操作は不要です」という最終的な診断結果です。
このメッセージが表示されていれば、ディスクのファイルシステムは健康な状態と言え、ひとまず安心です。
もしここでエラーが発見・修復された場合は、「Windows has made corrections to the file system.」(Windowsはファイルシステムに修正を行いました)といったメッセージが表示されます。
2. chkdskの5つのステージ
ログの中程にあるStage 1
からStage 5
は、chkdskが行っている具体的な点検作業の工程です。
- Stage 1~3:論理的なエラーのチェック
- ファイルの「住所録」にあたる管理情報に矛盾がないか、ファイルのアクセス権設定が壊れていないかなど、ディスクの論理的な構造をチェックしています。
- ログにある
Cleaning up ... unused security descriptors.
などは、不要になった情報を整理・清掃していることを示しています。
- Stage 4~5:物理的なエラーのチェック
- ディスクの全領域をスキャンし、物理的に破損した箇所(不良セクタ)がないかを探しています。
ログのLooking for bad clusters...
がこれにあたります。PCの不調の原因となる、より深刻な問題はこちらです。
- ディスクの全領域をスキャンし、物理的に破損した箇所(不良セクタ)がないかを探しています。
3. ディスクのサマリー情報
ログの最後には、ディスク全体の状態ががまとめられています。ここで特に注目すべきは、以下の項目です。
0 KB in bad sectors.
これは、「物理的に損傷したセクターは0バイトでした」という意味です。
ここが0 KB
であれば、ディスクに物理的なキズや損傷はないと判断できます。
もし、ここに0より大きい数字が表示された場合は、ディスクが物理的に劣化・故障し始めている兆候であり、早めのバックアップとディスク交換を検討すべきサインとなります。
4. 全体の所要時間
Total duration: 6.27 minutes (376471 ms).
これは、chkdskの全工程にかかった時間を示しています。
ディスクの容量や性能、エラーの数によってこの時間は変動しますが、「自分のPCだと、これくらいの時間がかかるのか」という目安として覚えておくと良いでしょう。
chkdsk(チェックディスク)コマンドに関するよくある質問と答え
chkdsk(チェックディスク)コマンドに関するよくある質問と答えをまとめました。
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